日本のインバウンド市場が再び活気を取り戻しつつある中、ホテルや旅館にとって、海外からの宿泊客獲得は喫緊の課題です。そこで注目を集めているのが、インスタグラムを活用したインバウンド集客戦略です。本記事では、インスタグラムを通じてインバウンド集客を成功させるための具体的な方法と実践的なアドバイスを、事例を交えながらご紹介します。
インバウンド市場の回復とSNSの重要性
日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2023年のインバウンド旅行者数は、2019年比21.4%減の2,507万人となりました。しかし、これはコロナ前の水準の約8割まで回復したことを示しています。2023年4月の水際措置撤廃以降、訪日外客数は急回復を遂げ、10月には2019年同月比で100%を超えました。
経済産業省の報告でも、鉄道旅客は90%まで回復し、航空旅客は新型コロナ前を15%も超えるまでに回復しています。
こうした状況下で、ホテル・旅館業界ではインスタグラムをはじめとするSNSの重要性が高まっています。SNSは旅行先の選択に大きな影響を与えており、特に若年層を中心に利用されています。宿泊施設にとって、SNSは見過ごせないマーケティングツールと言えるでしょう。
インスタグラムを活用したインバウンド集客戦略
ターゲット市場の特定とペルソナ設定
インバウンド集客で成果を上げるには、ターゲットとなる国や地域の旅行者の特徴を把握することが重要です。欧米からの旅行者は日本文化や自然体験を好む傾向があるのに対し、アジアからの旅行者はショッピングや食事を重視するなど、地域によって嗜好が異なります。
ペルソナ設定も有効です。ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を具体的に描写したものです。年齢、性別、国籍、関心事項などを基にペルソナを作成し、そのペルソナに合わせたコンテンツを制作・発信することで、より的確なターゲティングが可能となります。
印象に残る写真・動画と体験ストーリーの発信
インスタグラムは視覚的なコンテンツが命です。宿泊施設の魅力を最大限に引き出すような、美しく印象的な写真や動画を投稿することが求められます。スマートフォンでも十分に高品質な写真が撮れるので、専門的な機材は必ずしも必要ありません。
ストーリー性のあるコンテンツも効果的です。宿泊客の一日の流れを追ったり、施設周辺の観光スポットを紹介したりするなど、滞在体験を物語として伝えることで、フォロワーの心を掴むことができます。
ハッシュタグ選定とフォロワーとのコミュニケーション
適切なハッシュタグを使うことで、投稿の見える化を図れます。宿泊施設に関連する一般的なハッシュタグだけでなく、地域特有のハッシュタグや、オリジナルのハッシュタグを活用するのもおすすめです。
エンゲージメントを高めるには、フォロワーとのコミュニケーションが欠かせません。コメントには丁寧に返信し、フォロワーの投稿をシェアするなどして、双方向のやり取りを大切にしましょう。フォロワー参加型のキャンペーンも効果的です。
国内の宿泊施設に学ぶ成功事例
インスタグラムを活用した国内ホテル・旅館のインバウンド集客成功事例と運用ポイント
ここでは、2024年時点でインスタグラムを活用したインバウンド集客に成功している国内ホテル・旅館の事例を紹介するとともに、各施設ならではのアカウント運用方法やハッシュタグ、リールの活用法などの運用ポイントを解説します。
1. 京王プラザホテル
京王プラザホテルの公式インスタグラムアカウント(@keioplazahotel)フォロワー数は約2.7万人(2024年5月現在)
毎月変わる期間限定のアフタヌーンティーや日本酒バーなど和と洋を織り交ぜた魅力を発信。
投稿文には必ず英語と日本語を併記し、外国人観光客にもわかりやすい構成になっています。
ハッシュタグも英語と日本語ともに豊富に使用されており、インバウンド集客に効果的な工夫がなされています。
アカウント運用のポイント
・全ての投稿を英語と日本語のバイリンガルで発信
・ホテルの立地を活かした都会のオアシス感を印象付ける
・ラグジュアリーな客室やサービスを高品質な写真や動画で紹介
ハッシュタグ活用法
・#tokyohotel #luxuryhotelなど立地とコンセプトに関連するタグを使用
・#view #tokyonighitなどホテルの人気スポットに関するタグを活用
・#tokyo #shinjukuなど外国人に認知度の高い地名タグを多用
多言語対応の事例
・「Happy Hinamatsuri!」など日本文化のイベント発信を英語と日本語で紹介
・「Experience Godzilla’s Rampage in Tokyo!」の投稿でプロジェクションマッピングを眺めながらお食事を楽しめる京王プラザホテルならではの「東京ナイト&ライトディナー」のイベントの魅力を英語と日本語で説明
・「The weather is gradually warming up and we can feel the arrival of spring!」の投稿で日本の桜や古き良き日本文化の風情を英語と日本語で表現
リールの活用法
・本館47階「SKY PLAZA IBASHO」からの絶景や、ラグジュアリーな客室の様子を臨場感たっぷりに動画で紹介
・ホテルのアフタヌーンティーやバーなど、非日常的な体験を訴求する動画コンテンツを充実
2. パレスホテル東京
パレスホテル東京の公式インスタグラムアカウント(@palacehoteltokyo)フォロワー数は約4.9万人(2024年5月現在)
都心にありながら緑と水に恵まれたラグジュアリーホテルの魅力を発信。
文章のあるところには必ず英語と日本語を併記し、どの投稿もわかりやすい構成になっています。
ハッシュタグも英語と日本語ともに豊富につけられており、外国人観光客の目に留まりやすい工夫がなされています。
アカウント運用のポイント
・全ての投稿を日英バイリンガルで発信
・ホテルの立地を活かした都会のオアシス感を印象付ける
・ラグジュアリーなサービスや設備をビジュアル重視で紹介
ハッシュタグ活用法
・#tokyohotel #luxuryhotel など立地とコンセプトに関連するタグを使用 #afternoontea
・#roomwithaview などホテルの人気コンテンツに関するタグを活用
・ #tokyo #japan など外国人に認知度の高い地名タグを多用
多言語対応の事例
・「Mother’s Day with a heartfelt gift of delectable sweets or a stunning floral arrangement」の投稿で、いちごのスイーツの写真とフラワーアレンジメントを英語と日本語で説明し、訴求
・「Discover the creations of Chef Kei Kojima at French Restaurant Esterre」のキャプションとシェフの写真を発信し、日本のテロワールの魅力を英語と日本語でバランスよく紹介
・「Enjoy a delightful moment with our bonsai」の投稿で、四季をビジュアルで堪能できる日本ならではの盆栽の投稿で日本の美しさを英語と日本語で表現
リールの活用法
・ホテル内のアフタヌーンティーやバーなど、非日常感のある体験を動画で紹介
・スイートルームのルームツアー動画など、ホテルのラグジュアリーさを存分にアピール
3. 星野リゾート
星野リゾートの公式インスタグラムアカウント(@hoshinoresorts.official)フォロワー数は約17.9万人(2024年5月現在)
個性豊かな施設の「星のや」や「界」や桜に人力車や大浴場など、日本文化をビジュアルで楽しめる魅力を国内外に発信。
各投稿では施設の特徴を活かした美しい写真や動画を多数使用し、それぞれの宿の個性を印象的に伝えています。
ストーリーズやリールなどの動画コンテンツも積極的に活用し、臨場感のある情報発信を行っています。
アカウント運用のポイント
・各施設の立地や特徴を活かした魅力的なビジュアルを多用
・ストーリーズやリールで動画コンテンツを充実させ、臨場感を演出
・外国人観光客の関心が高い温泉や絶景など、リゾートの魅力を前面に押し出す
ハッシュタグ活用法
・#hoshinoya #hoshinoyakaruizawaなど各ブランドに関連するタグを使用
・#onsen #hotspring など外国人に人気の体験に関するタグを活用
・#tokyo #karuizawastationなど施設の立地に応じた地名タグを多用
リールの活用法
・各施設の大自然に囲まれた露天風呂や、ダイナミックな景観を動画で紹介
・国の有形文化財に指定されている茶室「思惟庵」にて、茶の湯体験を訴求するリール動画でノンバーバルでも風情ある日本文化を発信
以上、2024年時点でインスタグラムを活用してインバウンド集客に成功している国内ホテル・旅館の事例を紹介するとともに、各施設ならではのアカウント運用方法やハッシュタグ、リールの活用法などの運用ポイントを解説しました。
いずれの施設も、外国人観光客の関心を引くビジュアルや情報を戦略的に投稿することで、インバウンド需要の取り込みに成功しています。美しい写真とともに、外国人観光客が知りたい情報を多言語で発信すること、ハッシュタグを有効活用して情報を拡散すること、リール動画で臨場感のある体験を訴求することが、インスタグラムでのインバウンド集客のポイントと言えるでしょう。
今後、アフターコロナに向けてインバウンド需要のさらなる回復が見込まれるなか、インスタグラムを軸にした効果的なプロモーション展開が、宿泊施設のインバウンド集客力強化に直結すると言えるでしょう。
インスタグラムに加えて活用したい集客チャンネル
インスタグラムが重要なツールであることは間違いありませんが、他の集客チャンネルも見逃せません。Twitter、Facebook、TikTokなど、他のSNSを併用することで、より幅広い層にアプローチできます。
また、オンライン旅行サイトやメタサーチエンジンとの連携も効果的でBooking.comやExpedia、Tripadvisorなどに施設情報を掲載し、口コミ管理を行うことで、予約増加が見込めます。
インバウンド集客では、SNSと他の集客チャネルを適切に組み合わせることが重要だと言えるでしょう。
インスタグラム×インバウンド集客の未来
インバウンド市場の回復が見込まれる中、インスタグラムの重要性は今後ますます高まるでしょう。ホテルや旅館がインスタグラムで成功するには、ターゲット理解、魅力的なコンテンツ、ハッシュタグ戦略、エンゲージメント向上が鍵を握ります。
インスタグラムをインバウンド集客の戦略的ツールと位置づけ、継続的に取り組むことが大切です。本記事で紹介した知見とアドバイスを参考に、インスタグラムと他のチャンネルを効果的に組み合わせ、インバウンド集客の成功を目指していきましょう。
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