SNSマーケティング分析ノート
BTSはなぜラグジュアリーブランドに求められるのか。
7人×7ブランドのSNS戦略を読み解く
7人×7ブランドのSNS戦略を読み解く
Cartier、Dior、Louis Vuitton、Bottega Veneta──。BTSのメンバー7人が、なぜ揃ってラグジュアリーブランドのグローバルアンバサダーに起用されているのか。SNS投稿の作り方まで含めて、マーケティングの視点で整理します。
BTSのアンバサダー起用が、ここ最近ひときわ話題になっています。
7人組のグループで、7人が7つの異なるハイブランドと契約しています。
K-POP史上でも初めてのことです。
本稿では、この構造をSNSマーケティングの観点から整理します。
7人組のグループで、7人が7つの異なるハイブランドと契約しています。
K-POP史上でも初めてのことです。
本稿では、この構造をSNSマーケティングの観点から整理します。
目次
01. メンバー別・契約ブランド一覧
02. ブランド公式SNSの投稿パターン5類型
03. なぜBTSが選ばれ続けるのか
04. SNS担当者が持ち帰れる視点
02. ブランド公式SNSの投稿パターン5類型
03. なぜBTSが選ばれ続けるのか
04. SNS担当者が持ち帰れる視点
01. メンバー別・契約ブランド一覧
まず、事実から確認します。
2026年8月時点で確認できる、メンバーごとの主なアンバサダー契約は以下の通りです。
2026年8月時点で確認できる、メンバーごとの主なアンバサダー契約は以下の通りです。
RM(キム・ナムジュン)
Bottega Veneta / Samsung Art TV
2023年3月、ボッテガ・ヴェネタの初代グローバルアンバサダーに就任しました。現代美術への関心を活かし、Samsung Art TVのアンバサダーも兼務しています。
JIN(ジン)
Gucci / Alo Yoga
グッチのアンバサダーを務め、ライフスタイル系ブランドのAlo Yogaとも契約しています。
SUGA(シュガ)
Valentino
ヴァレンティノのブランドアンバサダーに就任しています。
J-HOPE(ジェイホープ)
Louis Vuitton
ルイ・ヴィトンのグローバルアンバサダー(ハウスアンバサダー)を務めています。2023年秋冬メンズコレクションのキャンペーンにも起用されました。
JIMIN(ジミン)
Dior / Tiffany & Co.
2023年、ディオールのグローバルアンバサダーに就任しました。同年ティファニーとも契約し、2ブランド同時起用という珍しいケースになりました。
V(テテ)
Cartier / Celine
2023年7月、カルティエのグローバルアンバサダーに就任しました。「パンテール ドゥ カルティエ」の顔を務めています。セリーヌのアンバサダーも兼務しています。
JUNG KOOK(ジョングク)
Calvin Klein / Graff / Hublot / Chanel(ビューティ)
カルバン・クラインのグローバルアンバサダーを務め、ウブロやシャネル(ビューティ)ともアンバサダー契約を結んでいます。2026年7月には、ハイジュエリーブランドGraffの新アンバサダーにも就任しました。
7人がそれぞれ異なるブランドを担っています。
そのため2026年7月のパリ公演では、各メンバーの契約ブランドがステージ衣装を特別に仕立てるという珍しい光景も生まれました。
一つのコンサートが、7ブランド分のファッションショーとなりました。
そのため2026年7月のパリ公演では、各メンバーの契約ブランドがステージ衣装を特別に仕立てるという珍しい光景も生まれました。
一つのコンサートが、7ブランド分のファッションショーとなりました。
02. ブランド公式SNSの投稿パターン5類型
ここが、今回とくに整理したいポイントです。
各ブランドの公式SNSの動きを見ていくと、投稿の型がだいたい5つに分かれることに気づきます。
各ブランドの公式SNSの動きを見ていくと、投稿の型がだいたい5つに分かれることに気づきます。
類型1|公式キャンペーン直接投稿型
カルティエは、Vを起用した「パンテール ドゥ カルティエ」のキャンペーンビジュアルと動画を公式アカウントで公開しています。
ルイ・ヴィトンも同様に、J-HOPEがバッグ「キーポル」を手にしたキービジュアルを公開しました。
コレクションのコンセプトとメンバーの個性を結びつけて語るのがポイントで、「たまたま起用した」ではなく「この人だから成立する」という文脈を作っています。
ルイ・ヴィトンも同様に、J-HOPEがバッグ「キーポル」を手にしたキービジュアルを公開しました。
コレクションのコンセプトとメンバーの個性を結びつけて語るのがポイントで、「たまたま起用した」ではなく「この人だから成立する」という文脈を作っています。
類型2|カプセルコレクション/協業型
カルバン・クラインは、ジョングクの「オートバイへの情熱」に着想を得たカプセルコレクションを展開しました。
ロゴには本人の直筆サインを重ねたデザインを使い、王冠や生まれ年など個人的なモチーフを商品全体にあしらっています。
本人の要素を商品そのものに落とし込むことで、ファンにとっては「本人を所有する」感覚に近づきます。
ロゴには本人の直筆サインを重ねたデザインを使い、王冠や生まれ年など個人的なモチーフを商品全体にあしらっています。
本人の要素を商品そのものに落とし込むことで、ファンにとっては「本人を所有する」感覚に近づきます。
類型3|イベント出席によるオーガニック拡散型
ディオールのショーにジミンが登場した際は、「#JiminxDior」がXの世界トレンド1位を記録し、480万件超の投稿につながりました。
ブランド側は招待という「場」を用意するだけで、本人の投稿とファンの拡散が連鎖し、メディア転載まで進んでいきます。
広告費をかけずに最大級の露出を得られる、いわゆるアーンドメディア効果です。
ブランド側は招待という「場」を用意するだけで、本人の投稿とファンの拡散が連鎖し、メディア転載まで進んでいきます。
広告費をかけずに最大級の露出を得られる、いわゆるアーンドメディア効果です。
類型4|「即完売」ニュースの二次利用型
Vがカルティエのアンバサダーに就任した直後、高額なネックレスが即完売したというニュースが「Vエフェクト」として各メディアで拡散されました。
ブランド自身が「完売しました」と投稿しなくても、メディアが競って報じることで希少性と購買力が世界に伝わる構図になっています。
ブランド自身が「完売しました」と投稿しなくても、メディアが競って報じることで希少性と購買力が世界に伝わる構図になっています。
類型5|ライブ衣装タイアップ型
2026年7月のパリ公演では、各メンバーが契約ブランドのカスタム衣装を身にまとって登場しました。
ジミンのディオール衣装は、フランスのマクロン大統領本人がインスタグラムでシェアするという想定外の広がりも見せています。
広告投稿を介さず、著名人や一般メディアまで巻き込む拡散が生まれています。
ジミンのディオール衣装は、フランスのマクロン大統領本人がインスタグラムでシェアするという想定外の広がりも見せています。
広告投稿を介さず、著名人や一般メディアまで巻き込む拡散が生まれています。
03. なぜBTSが選ばれ続けるのか
ここまでの事実を踏まえて、理由を整理します。
一つ目は、7人が7ブランドという構造そのものです。
一人のスターに依存する従来型の起用と違って、ブランドごとにピンポイントで世界観を訴求できます。
これはグループでなければ再現できない強みです。
二つ目は、ARMYという世界最大級のファンダムの購買・拡散力です。
推し活は「見る」だけでなく「買う」「拡散する」行動にまで直結します。
ジミンのディオール投稿が480万件超の拡散を生んだのも、ファンダムの行動力があってこそです。
三つ目は、スキャンダルの少ないクリーンな公人イメージです。
ラグジュアリーブランドは長期的な信頼を預ける相手を選ぶため、ここが崩れると起用そのものが成立しません。
四つ目は、アジアと欧米、両方の市場に同時にリーチできる稀有な立ち位置です。
一つの起用で、東西両方の消費者に届く効率の良さがあります。
五つ目は、本人の嗜好とブランド哲学が一致しているというストーリー性です。
RMの美術への造詣、ジミンとディオールの2019年からの縁など、単なる広告契約ではない「必然性」が語られています。
ラグジュアリー業界が重視する「本物らしさ」に、この要素が寄与していると考えられます。
一つ目は、7人が7ブランドという構造そのものです。
一人のスターに依存する従来型の起用と違って、ブランドごとにピンポイントで世界観を訴求できます。
これはグループでなければ再現できない強みです。
二つ目は、ARMYという世界最大級のファンダムの購買・拡散力です。
推し活は「見る」だけでなく「買う」「拡散する」行動にまで直結します。
ジミンのディオール投稿が480万件超の拡散を生んだのも、ファンダムの行動力があってこそです。
三つ目は、スキャンダルの少ないクリーンな公人イメージです。
ラグジュアリーブランドは長期的な信頼を預ける相手を選ぶため、ここが崩れると起用そのものが成立しません。
四つ目は、アジアと欧米、両方の市場に同時にリーチできる稀有な立ち位置です。
一つの起用で、東西両方の消費者に届く効率の良さがあります。
五つ目は、本人の嗜好とブランド哲学が一致しているというストーリー性です。
RMの美術への造詣、ジミンとディオールの2019年からの縁など、単なる広告契約ではない「必然性」が語られています。
ラグジュアリー業界が重視する「本物らしさ」に、この要素が寄与していると考えられます。
04. SNS担当者が持ち帰れる視点
規模は大きく異なりますが、企業のSNS運用にも応用できる考え方があります。
一つは、「起用した理由」を言語化して発信すること。
カルバン・クラインがジョングクの「バイク好き」を商品に落とし込んだように、担当者やアンバサダーの個人的な要素を絡めるだけで、投稿の説得力は変わってきます。
もう一つは、広告投稿だけに頼らないこと。
ブランド公式の発信より、本人や現場の自然な発信のほうが拡散する場面が多くあります。
「場」を用意して、あとは当事者の発信に委ねる設計は、企業アカウントでも参考になります。
一つは、「起用した理由」を言語化して発信すること。
カルバン・クラインがジョングクの「バイク好き」を商品に落とし込んだように、担当者やアンバサダーの個人的な要素を絡めるだけで、投稿の説得力は変わってきます。
もう一つは、広告投稿だけに頼らないこと。
ブランド公式の発信より、本人や現場の自然な発信のほうが拡散する場面が多くあります。
「場」を用意して、あとは当事者の発信に委ねる設計は、企業アカウントでも参考になります。
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