広告アップデート / 2026年9月
Amazon Ads × ChatGPT広告
Amazon DSPからChatGPTに広告を出せるようになった
ただし米国のパイロット。日本の広告主が知っておくべき本当のポイントは別にある。
2026年9月10日、Amazon AdsがOpenAIとの提携を発表しました。
Amazon DSPを使っている広告主が、ChatGPTの会話画面に広告を出せるようになります。
ただし現時点では、米国の一部広告主に限ったパイロットです。
ここで多くの記事が「日本ではまだ使えない」と書いて終わっています。
しかしそれは半分だけ正しい。ChatGPT広告そのものは、2026年6月から日本でも配信が始まり、日本の事業主が自分で出稿できる状態になっています。
この記事では、今回新しくなったことと、日本ではすでに使えることを分けて整理します。
この記事の内容
01何が発表されたのか
02買うのはAmazon、出すのはOpenAI
03なぜ両社が手を組んだのか
04この8か月でChatGPT広告に起きたこと
05日本の現在地|待つ必要があるのは半分だけ
06日本で出稿するときの7つの制約
07それでも「まだ基本を作っている段階」という評価
まず、公表されている事実だけを並べます。
発表の中身
発表元
Amazon Ads(OpenAIとの提携)
できること
Amazon DSP経由でChatGPT Adsの在庫を購入
提供形態
当初はマネージドサービス。Amazon Adsの担当者が構築と運用を支援
初期ブランド
Delta Vacations(デルタ航空の旅行パッケージ事業)
計測
インプレッション、クリック、コスト・パー・リザルト、CPM、CPCの集計データ
Amazon Adsの担当者は、広告主のキャンペーン構築と管理に加えて、トピックや会話に広告を合わせるための「コンテキストヒント」の設計も支援するとされています。
完全なセルフサーブではなく、人がつく形から始まるということです。
この提携でいちばん重要なのは、役割が2社に分かれている点です。
Amazonがキャンペーンの設定と管理を担当します。
一方で、どの広告が実際にいつどこに表示されるかは、OpenAI側のシステムが決めます。
つまり、買う場所と出る場所が別会社に分かれている。どちらも主導権を完全には渡していません。
運用者にとって何を意味するか
予算と入札はAmazon DSP側で触れます。ただし配信の最終判断はOpenAIのロジックが握るため、従来のDSPのような細かい面の指定はできないと考えたほうが現実的です。
広告はどこに出るのか
ChatGPT広告は、回答の本文に混ざるのではなく、回答の下に独立した枠として出ます。
会話画面での表示位置
ノイズキャンセリングのイヤホンを選びたい
用途によって選び方が変わります。通勤で使うなら遮音性、在宅の会議なら通話品質を優先すると…
Sponsored
広告主のテキストと画像がここに入る
会話の文脈に関連した広告が、回答の下に独立した枠で表示される
表示されるのは無料プランとGoプランを使う18歳以上のユーザーです。
Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduの各プランには表示されません。
広告が届くのは、有料の上位プランを契約していない層に限られる、ということです。
それぞれの事情を見ると、この提携の意味がはっきりします。
OpenAIが得たもの
Amazonが20年かけて築いた広告主との関係、予算、購買インフラです。これまでChatGPT広告を買えるのは、OpenAIから直接買うか、CriteoやKargoといった比較的小規模な仲介を通すかのどちらかでした。Amazonの広告事業は直近12か月で700億ドルを超えており、規模が桁違いです。
Amazonが得たもの
ChatGPTという新しい広告面への足がかりです。Amazonはこの1年半ほどで、Netflix、Roku、Spotify、Disney、Hulu、ESPNなど、価値の高い在庫を次々に押さえてきました。今回はその延長線上にあります。会話型広告にユーザーがどう反応するかというデータも手に入ります。
もうひとつ、見落とされがちな論点があります。
この座組みは、Amazonで商品を売っていない広告主にも開かれています。
Amazon DSPを使って外部のメディアにリーチしている広告主が、そのままChatGPTにも配信先を広げられる形です。
今回の提携を単体で見ると規模感がつかめません。時系列で並べます。
2026.01.16
OpenAIが、ChatGPT内で広告をテストすると正式に表明
2026.02.09
米国でテスト開始。無料プランとGoプランの18歳以上が対象
2026.03.26
年換算1億ドルを突破。広告主は600社超。開始から約6週間
2026.04.13
セルフサーブ広告マネージャーが稼働。最低出稿額が5万ドルに下がり、CPMは25ドル程度まで低下
2026.05.05
米国の全事業者にセルフサーブを開放。CPC入札、Conversions API、ピクセル計測に対応
2026.06
日本で配信開始。6月末にセルフサーブが日本の事業主へ開放
2026.06.22
カンヌライオンズで最高収益責任者が「明確に広告事業にいる」と発言。週間利用者9億人
2026.08.31
年換算10億ドルに到達。開始から200日未満
2026.09.01
モバイルアプリの広告表示密度が4月比163%増と報告される
2026.09.10
Amazon Adsとの提携を発表
年換算10億ドルという数字は、ある月の売上を12倍した見込み値です。
一年分の実績ではないので、勢いを示す数字として読む必要があります。
それでも、8か月で10倍になった面にAmazonが乗ってきた、という事実の重みは変わりません。
この市場そのものを詳しく知りたい方へ
ChatGPT広告がGoogle広告・Meta広告とどう役割が違うのか、既存の広告予算をどう扱うべきかは、別記事で整理しています。
運用を任せたい
インターネット広告運用
Google、Meta、DSPまで横断した運用型広告のプランニングから配信、検証までを一気通貫で支援します。
自社で回せるようにしたい
AI×SNS企業研修
生成AIを前提にした運用体制を社内に残すための研修です。属人化させず、自社仕様のマニュアルまで作ります。
ここが本題です。
結論
Amazon DSP経由でChatGPT広告を買うルートは、日本ではまだ使えません。展開時期も公表されていません。
一方、ChatGPT広告そのものは、日本の事業主が今日から自分で出稿できます。
ChatGPT広告は2026年6月に日本で配信が始まり、6月末には広告管理画面のセルフサーブが日本の事業主に開放されました。
2026年7月時点で公開されている市場は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国の7つです。
その後8月には欧州31市場にも広がっています。
つまり「日本でいつ使えるようになるのか」という問いの答えは、媒体とルートで分かれます。
ChatGPT広告そのもの
すでに日本で出稿可能。ads.openai.comで事業主がアカウントを作り、配信まで進められます。
Amazon DSP経由のルート
日本は未対応。米国の一部広告主によるパイロット段階で、他国への展開時期は公表されていません。
「実装を待つ」という構えは、正確には半分だけ正しい。
待つ必要があるのはAmazon DSPという買い方の部分だけで、媒体そのものはもう触れます。
そして広告運用で差がつくのは、たいてい媒体が枯れる前の期間です。
ただし、いま出稿しようとすると、日本特有の制約にぶつかります。実務で効いてくる順に並べます。
1代理店が広告アカウントを持てない
現時点では、代理店が事業主に代わってアカウントを開設・所有する仕組みがありません。事業主側でアカウントを作成し、そこに代理店のメンバーを招待する形をとる必要があります。運用を外部に任せる場合、この一点だけは社内で作業が発生します。なお、代理店のメールアドレスで事業主として登録してもアカウント自体は作れてしまうものの、一定量を配信した段階で事業者認証を求められ停止する例が報告されています。立ち上げ時には気づかず、成果が出始めた頃に止まる形になるため、最初から正規の手順で進めてください。
2広告が届くのは無料プランとGoプランのユーザーだけ
Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduの各プランには広告が表示されません。18歳未満と判断されるアカウントも対象外です。上位プランを使う層、つまり業務で日常的にChatGPTを使っている層には届かない設計になっています。
3キーワード入札ではなく「コンテキストヒント」
検索広告のように完全一致のキーワードで買う仕組みではありません。広告主は、どんな会話や検討場面で出したいかという文脈の仮説を渡します。広告文、リンク先ページ、実際の会話内容とあわせて関連性が判断されます。検索広告の運用経験がそのままは効かない部分です。
41日の予算の下限は、アカウントの通貨で変わる
ここは為替換算では計算できません。アカウント作成画面に「キャンペーンの予算と入札には、USD ではなく JPY が使用されます。金額は、アカウント通貨の要件と最低額に合わせて調整される場合があります」と表示されており、通貨ごとに別々の最低額が設定されていることが読み取れます。実際に、USD建てで作成したアカウントでは1日の予算の下限が25.00 USDと表示されました。月30日換算でおよそ十数万円です。JPY建てアカウントでの下限は本記事では未確認です。少額から試すつもりで臨むと想定と合わない可能性があるため、アカウントを作る前に自社の通貨設定でいくらになるかを確認してください。課金方式はCPM、CPC、oCPCの3つです。業界別の平均CPCやCTRは公表されていないため、社外のベンチマークにも頼れません。
5予算タイプは配信開始後に変更できない
1日あたりの予算にするか、キャンペーン合計の予算にするか。この区分はキャンペーン開始後に変更できないと管理画面に明記されています。金額のほうは開始後もいつでも変更できます。どちらの持ち方で運用するかは、配信前に決め切っておく必要があります。
6国・通貨・タイムゾーンは、作成時に決めたら変えられない
アカウント作成画面の最下部に「続けると、この情報は変更できません」と明記されています。国、通貨、タイムゾーンの3つは後から変更できません。前項のとおり予算の下限は通貨で変わるため、ここでの選択が運用開始後の予算設計にそのまま効いてきます。初期値が海外設定になっている場合があるので、送信前にJapan、JPY、Tokyoになっているかを必ず確認してください。
7業種制限があり、審査で落ちる例が報告されている
センシティブなカテゴリはパイロットから除外されており、利用可否は地域によって異なります。出稿を前提に制作を進める前に、自社の業種が対象になるかを確認しておくのが安全です。
代理店を使う企業への実務的な補足
アカウント開設だけは自社で行い、運用権限を代理店に渡す。この手順を先に社内で通しておくと、出稿判断をしてから実際に配信するまでの時間が短くなります。広告の話というより、社内の権限まわりの段取りの話です。
07
それでも「まだ基本を作っている段階」という評価
ここまで前向きな数字を並べてきましたが、冷静な指摘も出ています。
eMarketerのアナリストは、OpenAIの広告事業について、計測手法も技術もフォーマットも、まだ基本的な部分を構築している途中だと評価しています。
実際、広告主が使える計測はまだ限定的です。今回のAmazon経由のパイロットでも、提供されるのはインプレッション、クリック、コスト・パー・リザルト、CPM、CPCといった集計データにとどまります。
会話型広告は「買う場所」ではなく「候補に入る場所」
もうひとつ、購買行動のデータが示す事実があります。
AIを使って買い物をした人が、実際に購入した場所
出典:eMarketer
AIに相談して買い物をした人のうち、AIの画面上で購入まで済ませるのは10人に1人です。
小売のアプリやサイトが69%、実店舗が14%を占めます。
この数字が意味するのは、会話型広告の役割が「その場で売る」ことではないということです。
検討している人の選択肢に入り、自社サイトへ連れてくる。現状の設計としては、そこが現実的な期待値になります。
だとすると、いま投資すべきはどこか
会話型のAIが商品選びの入口になっているという流れ自体は、広告を出す出さないに関わらず進みます。
そして、広告枠を買えるのは無料プランとGoプランのユーザーだけです。
上位プランを使う層に届く方法は、いまのところ広告ではありません。回答そのものに引用されること、つまりLLMOやAIOの領域です。
有料の枠と、引用される側の対策。この両輪で考えるのが現実的な構えになります。
Q日本でChatGPT広告は出せますか。
A出せます。2026年6月に日本で配信が始まり、6月末には広告管理画面のセルフサーブが日本の事業主に開放されました。ads.openai.comでアカウントを作成して配信まで進められます。
QAmazon DSP経由のルートは、いつ日本に来ますか。
A公表されていません。Amazon Adsの発表にも、他国への展開スケジュールへの言及はありません。現時点で時期を断定している情報源はないため、憶測で計画を立てるのは避けたほうが安全です。
Q広告運用を代理店に任せられますか。
A運用自体は任せられますが、広告アカウントの開設は事業主側で行う必要があります。代理店が事業主に代わってアカウントを開設・所有する仕組みが現時点ではないためです。事業主がアカウントを作り、代理店のメンバーを招待する形になります。
Qいくらから出せますか。
Aアカウントの通貨設定によって変わります。OpenAIはアカウント作成画面で、金額はアカウント通貨の要件と最低額に合わせて調整される場合があると説明しており、通貨ごとに別々の最低額が設定されています。実機で確認した範囲では、USD建てのアカウントで1日の予算の下限が25.00 USDと表示されました。JPY建てでの下限は未確認です。課金方式はCPM、CPC、oCPCから選べますが、業界別の平均CPCやCTRは公表されていないため、初期は自社でデータを取る前提になります。
Q検索広告と何が違いますか。
Aキーワードに入札する仕組みではない点が最大の違いです。広告主は「コンテキストヒント」として、どんな会話や検討場面で出したいかという文脈の仮説を渡します。広告文やリンク先ページ、実際の会話内容とあわせて関連性が判断されます。
2026年9月10日、Amazon DSPからChatGPT広告を買えるパイロットが米国で始まった。
キャンペーンの設定と管理はAmazon、どの広告を出すかの判断はOpenAI。主導権は分かれている。
ChatGPT広告の事業規模は、開始から200日未満で年換算10億ドルに達している。
Amazon経由のルートは日本未対応。ただしChatGPT広告そのものは2026年6月から日本で出稿できる。
日本で出すなら、代理店がアカウントを持てないという制約を先に社内で片づけておく。
会話型広告は現状「買う場所」ではなく「候補に入る場所」。広告とLLMOの両輪で考える。
主な出典
Amazon Ads|ChatGPTとの新たな統合を発表(日本語版)(advertising.amazon.com)
Marketing Dive|Amazon pilots ad services in ChatGPT(marketingdive.com)
Search Engine Land|Amazon pilots ChatGPT Ads through its DSP(searchengineland.com)
CNBC|Amazon gives OpenAI’s ad business a boost(cnbc.com)
eMarketer|Amazon gives advertisers access to ChatGPT ads(emarketer.com)
Sensor Tower/Digiday(広告収益・広告表示密度)(sensortower.com / digiday.com)
OpenAI|Testing ads in ChatGPT(openai.com)
日本の広告アカウントでの実機確認(2026年9月17日)(ニューオーダー)
本記事は2026年9月17日時点で公開されている情報と、同日に日本の広告アカウントで確認した表示にもとづきます。仕様や提供状況は変更される場合があります。表示される内容はアカウントの通貨設定や地域によって異なります。
運用を任せたい
インターネット広告運用
Google、Meta、DSPまで横断した運用型広告のプランニングから配信、検証までを一気通貫で支援します。
自社で回せるようにしたい
AI×SNS企業研修
生成AIを前提にした運用体制を社内に残すための研修です。属人化させず、自社仕様のマニュアルまで作ります。
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