2026年8月公開コード更新 / X FOR YOU
Xの「おすすめ」はどう決まる?企業投稿は「目的・対象・内容・反応」から設計する
Xの公開アルゴリズムから企業が学ぶべきことは、反応数を水増しする方法ではありません。投稿する前に「何のために・誰に・何を伝え・どの反応を期待するか」を決め、狙う相手が質の高い反応を起こす確率を高めることです。
情報確認日:2026年8月20日
企業のX運用は、すべての投稿で「目的・対象・投稿内容・期待する主反応」の4項目を先に決める。
「いいねを何件集めるか」から考えるのではありません。誰のどの課題に応え、その人に投稿への返信(リプライ)、クリック、滞在、共有、フォローなど、何をしてほしいのかを投稿単位で設計します。
01 / THE MAIN POINT
最重要|投稿前に4項目を設計する
アルゴリズムの構造を企業実務へ置き換えると、結論はこの投稿設計表です。
表は横にスクロールできます →
| 目的 | 対象 | 投稿内容 | 期待する主反応 |
|---|---|---|---|
| BtoB認知 | 業界の実務担当者 | 現場で使えるチェックリスト、調査結果、失敗例 | 滞在・共有・フォロー |
| 商品理解 | 比較検討中の顧客 | 用途別比較、選び方、よくある誤解 | クリック・ユーザーからの返信(リプライ) |
| 採用 | 応募候補者 | 仕事の判断基準、社員の一日、現場の課題 | プロフィールクリック・採用ページ遷移 |
| ファン形成 | 既存顧客・利用者 | 開発背景、担当者の知見、利用者参加型の問い | ユーザーからの返信(リプライ)・引用・継続フォロー |
投稿後は、総反応数だけでなく「想定した対象者が、想定した反応を起こしたか」を確認します。目的が異なる投稿を、同じ「いいね率」だけで比較してはいけません。
02 / OFFICIAL OPEN SOURCE
Xが公開した「For You」アルゴリズムとは
xAIは、Xの「For You」フィードでどの投稿を表示するかを決める中核コードを、GitHubのxai-org/x-algorithmで公開しています。
2026年8月13日の更新では、主要な設定値、表示可否に関係する仕組み、Phoenixモデルの学習・実行コードなどが追加されました。翌14日には、行動ごとの「重み」に関する誤解を正す説明も追記されています。
おすすめフィードは、フォローしているアカウントの投稿と、機械学習などで見つけたフォロー外の投稿を集め、フィルタし、Phoenixモデルでユーザーごとの行動確率を予測して並べます。
公開コードは「この投稿なら必ず伸びる」という攻略表ではありません。企業が使うべきなのは、数値の小手先の操作ではなく、目的・対象・内容・期待する反応を投稿前に決めるための構造理解です。
03 / THREE-STAGE MODEL
図解|Xのおすすめ表示を3段階で理解する
実際の公開コードには、ユーザー情報の取得、候補の補完、選択後の再フィルタ、広告などとの混合を含む複数工程があります。本記事では企業担当者が理解しやすいよう、中核を「候補取得→除外・フィルタ→スコアリング」の3段階に整理します。
フォロー中の投稿と、興味関心が近いフォロー外の投稿を集める。
重複、既に見た投稿、ブロック・ミュートなど表示対象外を取り除く。
そのユーザーが投稿への返信(リプライ)、クリック、滞在、報告などを起こす確率を予測する。
企業運用への置き換え:候補に入りやすい一貫したテーマを持ち、表示対象外や否定反応の原因を避け、狙う対象者が期待する反応を起こしやすい投稿内容を設計する。この3段階すべての土台が、記事冒頭の「目的・対象・投稿内容・期待する主反応」です。
第1段階:候補取得
投稿候補は大きく、フォロー中のアカウントから取得する「In-Network」と、フォロー外から発見する「Out-of-Network」に分かれます。
- Thunder:フォローしているアカウントの最近の投稿を取得
- Phoenix Retrieval:ユーザーと投稿をベクトル化し、関連性が近い投稿を取得
- SimClusters:誰が何に反応したかのクラスターから候補を発見
企業アカウントにとって重要なのは、フォロワーへの配信だけでなく、投稿内容と反応履歴を通じて「どの関心クラスターに属するアカウントなのか」が一貫して伝わることです。
第2段階:除外・フィルタ
候補になっても、すべてがスコアリング後に表示されるわけではありません。公開コードでは、次のような投稿を事前・事後に除外する処理が確認できます。
- 複数の取得元から届いた同一投稿
- 一定時間より古い投稿
- ユーザー自身の投稿
- 既に見た、または同じセッションで表示済みの投稿
- ブロック・ミュートしたアカウントの投稿
- ミュートキーワードを含む投稿
- 閲覧資格のない購読者限定投稿
- 表示可否システムが「DROP」と判断した投稿
順位付けと表示可否は別の仕組みです。スコアが高くても、安全性・可視性の判定や重複処理によって表示対象から外れる場合があります。
第3段階:ユーザー別スコアリング
Phoenixは、候補投稿ごとに、そのユーザーが複数の行動を取る確率を予測します。それぞれの予測値に設定された重みを掛け、最終スコアへまとめます。
その後も、同じ投稿者が連続しすぎないための調整、フォロー外投稿への調整、新しい投稿者へのブースト、類似投稿が並びすぎないための再順位付けなどが行われます。
04 / PREDICTED PROBABILITY
重要|「反応数の足し算」ではない
公開コードを見た解説の中には、「ユーザーからの返信(リプライ)はいいねの何倍」「報告1件でいいね何件分が消える」といった説明があります。しかし、X公式リポジトリは2026年8月14日、この読み方を明確に否定しました。
最終スコア = Σ(行動ごとの重み × そのユーザーが行動する予測値)
重みが掛かるのは、投稿が獲得済みの生のいいね数や、ユーザーから届いた返信(リプライ)の件数ではありません。「この閲覧者が、この投稿にいいねする確率」「この閲覧者が投稿へ返信(リプライ)する確率」「この閲覧者が報告する確率」「この閲覧者の滞在に関する予測値」などです。
公開コードに沿った理解:対象ユーザーが報告する可能性や、いいねする可能性などを投稿ごとに予測し、それぞれの重みを掛けて合成する。
同じ投稿でも、ユーザーAには高く評価され、ユーザーBには低く評価される可能性があります。したがって企業運用では、全ユーザーから平均的に反応を集めるより、投稿の目的と対象を定め、その人に有用な内容を届け、望ましい行動を起こしやすくすることが重要です。
05 / POSITIVE & NEGATIVE SIGNALS
ユーザーからの返信・クリック・滞在と、報告・ブロックの両方を見る
Phoenixが扱う行動予測には、目に見えやすい「いいね」や「ユーザーから投稿への返信(リプライ)」だけでなく、クリックや滞在、投稿者のフォロー、否定的な行動も含まれます。
本記事での用語:「ユーザーからの返信(リプライ)」は、ユーザーが企業の投稿へコメントを送る行動です。「企業担当者の応答」は、届いたコメントに企業側が返答し、追加情報を提供する行動です。両者を区別して説明します。
いいね、ユーザーから投稿への返信(リプライ)、リポスト、引用、共有、DM共有、リンクコピー、投稿・プロフィール・リンクのクリック、写真拡大、動画視聴、滞在、投稿者のフォローなど。
「興味なし」、投稿者のミュート、ブロック、報告、十分に滞在しないことなど。
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| 反応 | 企業が設計できること | 避けたい設計 |
|---|---|---|
| ユーザーからの返信 (リプライ) |
投稿文に回答しやすい具体的な問いや、経験を共有できるテーマを入れる。届いたリプライには企業担当者が応答し、追加情報を返す | 論争だけを狙う煽り、回答範囲が広すぎる質問、コメントを集めたまま企業側が放置する運用 |
| クリック | 投稿内で得られる価値とリンク先の続きが一致する導線 | 内容を隠すだけのクリックベイト、遷移先との不一致 |
| 滞在 | 結論先出し、箇条書き、比較、手順、画像・動画で理解を深める | 意味のない長文化、結論を不自然に引き延ばす |
| フォロー | 誰向けの何の専門アカウントかを投稿シリーズで一貫させる | 毎回テーマ・対象者・口調が変わる運用 |
| 報告・ブロック | 事実確認、表示頻度、ターゲットとの適合、権利・表現を点検する | 無関係な便乗、過度な連投、誤認を招く断定、攻撃的な応対 |
すべての反応が企業側の分析画面で個別に見えるとは限りません。確認できる数値だけを最適化し、見えない否定的反応を無視しないことが重要です。
06 / KNOWN & UNKNOWN
公開コードから分かること/分からないこと
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| 公開コードから分かること | 公開コードだけでは分からないこと |
|---|---|
| For Youフィードを構成する主要な処理段階 | 個別投稿が何インプレッション獲得するか |
| フォロー内・外の主要な候補取得元 | ある投稿が必ずおすすめ表示される条件 |
| 代表的な事前・事後フィルタ | 非公開のGroxプロンプトや一部のbotmakerルール |
| モデルが予測する行動の種類 | 全実験・全ユーザーに常時適用される設定 |
| 公開時点の主な重みと計算構造 | 特定ユーザーに対する実際の予測確率 |
| 順位付けと表示可否が別処理であること | 投稿改善とリーチ増加の因果関係の保証 |
Xは、悪用や回避を防ぐため、Groxの具体的なプロンプトや一部のルールを公開していないと説明しています。また、実験や設定値は更新されるため、GitHubの一時点のコードを永久に変わらない攻略法として扱うべきではありません。
NEW ORDER / AI × SNS
4項目の投稿設計を、社内で続けられる運用体制へ
ニューオーダーのAI SNS研修では、Instagramを中心にX・Facebook・YouTubeもカバーし、「目的・対象・投稿内容・期待する反応」の設計から制作、分析、改善会議までを自社の業務へ落とし込みます。
07 / WHAT COMPANIES SHOULD DO
企業が実行すべきは「投稿設計の標準化」
公開コードを見て反応ごとの重みだけを追いかけると、運用は短期的な数字合わせに偏ります。企業は、担当者の感覚で投稿を作る状態から離れ、すべての企画で「目的・対象・投稿内容・期待する主反応」を記入する共通ルールを持つべきです。
その4項目を決めるときの判断基準が、次の3点です。
商品担当者、採用候補者、地域生活者など、誰に向けたアカウントかを明確にし、テーマを蓄積します。
読むことで判断、比較、実行ができる情報を用意し、宣伝だけに偏らない投稿を作ります。
ユーザーが投稿へ返信(リプライ)しやすい問いを用意します。リプライが届いた後は、企業担当者がそのコメントへ応答し、追加情報を返して会話を継続します。
アカウント全体のテーマが定まっていても、投稿単位の4項目が曖昧なら検証できません。投稿会議では企画案より先に、記事冒頭の投稿設計表を埋めてください。
08 / POST-BY-POST DESIGN
4項目を実際の投稿企画へ落とし込む
BtoB認知、商品理解、採用、ファン形成など、この投稿が事業上何を前進させるのかを決めます。
「中小製造業の採用担当者」「店舗から半径10kmの子育て世帯」など、反応してほしい人を具体化します。
比較、手順、失敗例、現場情報など、対象者が読後に理解・判断・実行できることを明確にします。
ユーザーからの返信(リプライ)、クリック、滞在、共有、プロフィール遷移、フォローなど、目的に最も近い反応を選び、その行動を起こす理由を投稿内容に組み込みます。
誤解を招く表現、過剰な煽り、無関係なトレンド便乗、表示頻度、リンク先の不一致を確認します。
企画会議での使い方:4項目を1行で説明できない投稿は公開せず、目的か対象を絞り直します。複数の反応を狙う場合も、評価に使う「主反応」は一つ決めてください。
09 / BUSINESS CHECKLIST
企業アカウント向けチェックリスト
公開前
- 投稿の事業目的を一つに決めている
- 対象ユーザーを一文で説明できる
- 投稿内容が対象者に与える価値を一つに絞っている
- 起こしてほしい主反応を一つ決めている
- 冒頭だけで対象者と価値が分かる
- リンク先と投稿内容が一致している
- 誇張、誤認、権利、個人情報を確認した
公開後
- 想定した対象者が、想定した主反応を起こしたか確認する
- ユーザーから届いた返信(リプライ)は、件数だけでなく内容と対象者の一致を見る
- ユーザーからのコメントには企業担当者が応答し、必要な追加情報を提供する
- クリック後のサイト行動まで確認する
- 動画は再生数だけでなく視聴の深さを見る
- 想定外の引用・批判へ感情的に反応しない
- 見えない否定反応の可能性も改善仮説に含める
月次レビュー
- 反応したユーザー層は狙いと一致したか
- 投稿テーマごとに望ましい反応率を比較したか
- 表示は多いが事業成果につながらない投稿を特定したか
- 否定的な公開反応と原因を記録したか
- テーマ・形式・頻度の変更を一度に行いすぎていないか
- 次月に残す型と、停止する型を決めたか
10 / 30-DAY TEST
30日間で「反応の質」を検証する方法
アルゴリズム変更を追うだけでは、企業アカウント固有の正解は見つかりません。30日間、各投稿の「目的・対象・投稿内容・期待する主反応」を記録し、同じ目的の投稿どうしで内容の型を比較します。
目的、対象、投稿内容、期待する主反応に加え、形式、投稿時間、表示、ユーザーからの返信(リプライ)、クリック、プロフィール遷移などを整理します。
一般的な質問と、対象者が自身の経験を答えやすい具体的な質問を比較します。届いたリプライには企業担当者が応答し、会話の内容も記録します。
結論、手順、比較表、短い動画など、理解を深める構成を比較します。
高反応だった投稿が、問い合わせ、採用、サイト回遊、指名検索などへつながったかを確認します。
一度に対象者、テーマ、形式、投稿時間、頻度をすべて変えると、何が影響したか判断できません。1回の検証で変える要素を絞ってください。
11 / FAQ
Xのおすすめアルゴリズムに関するよくある質問
Xのおすすめアルゴリズムは公開されていますか?
xAIが、XのFor Youフィードを構成する中核コードをGitHubで公開しています。ただし、Groxの具体的なプロンプトや一部のbotmakerルールなど、非公開部分もあります。
いいねを増やせばおすすめ表示されますか?
いいねはモデルが予測する行動の一つですが、生のいいね件数だけで順位が決まるわけではありません。ユーザーごとの複数行動の予測、フィルタ、候補取得、各種調整が組み合わされます。
報告1件で多数のいいねが相殺されますか?
そのような単純計算ではありません。X公式リポジトリは、重みが生の反応数ではなく、各ユーザーが行動する予測値に掛かると説明しています。
ユーザーからの返信(リプライ)はX運用で重要ですか?
ユーザーが投稿へ返信する行動は、公開コード上の予測対象に含まれます。ただし、無関係なリプライ数を増やすことが目的ではありません。対象ユーザーが答えやすい問いを用意し、届いたコメントには企業担当者が誠実に応答して、有益な会話へ発展させることが重要です。
リンクを入れると必ず不利になりますか?
公開コードから「すべての外部リンク投稿が必ず不利」とは断定できません。クリック確率も予測対象です。投稿とリンク先の価値を一致させ、遷移後の事業成果まで評価してください。
投稿を長くすれば滞在時間が伸びますか?
意味のない長文化は有用性を高めません。結論、比較、手順などを読みやすく整理し、必要な時間を使って理解できる投稿を目指します。
企業は何をKPIにすべきですか?
まず投稿の目的と期待する主反応を決めます。そのうえで、狙うユーザーからの返信(リプライ)、質の高いサイト流入、プロフィール遷移、問い合わせ、採用応募など、目的に直結する指標を設定します。目的が違う投稿を総いいね数だけで比較しないことが重要です。
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