電通「AIJES」と「AISAS」はなぜ並走するのか?AI時代の購買行動と企業SNSの新しい役割

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電通「AIJES」と「AISAS」はなぜ並走するのか?

NEW ORDER|AI × PURCHASE JOURNEY

電通「AIJES」と「AISAS」はなぜ並走するのか?

生成AIに相談して商品を選ぶ人が増えると、検索やSNSは不要になるのでしょうか。電通グループが提唱したAI時代の購買行動モデル「AIJES」を手がかりに、企業SNSの役割がどう変わるのかを考えます。

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公開日:2026年9月12日情報基準日:2026年9月12日執筆:青山直樹

結論からいえば、AIJESの登場は「検索やSNSが終わる」という話ではありません。生活者が自分で検索・比較するAISASと、蓄積された情報をもとにAIと問答するAIJESが並走し、商品によって、人によって、同じ人でも場面によって使い分けられる時代になったということです。

POINT 01|モデルAIJESは人とAIの協働を捉える情報の蓄積からAIとの問答、人間の判断、参加、評価までを循環として整理します。
POINT 02|並走AISASは消滅しない自分で検索したい場面とAIへ相談したい場面は共存します。一本道の置き換えではありません。
POINT 03|SNS投稿は判断材料として蓄積される企業発信、利用者の投稿、口コミ、評価の質と一貫性が、AIと人の双方に影響します。

電通が提唱した「AIJES」とは

国内電通グループの電通、電通デジタル、電通総研、電通マクロミルインサイトは2026年9月10日、AI時代の新しい購買行動モデルとしてAIJES(アイジェス)を提唱しました。

AIJESは、生活者がAIから一方的におすすめを受け取るモデルではありません。人とAIが情報を蓄積し、問いを重ね、最後は人間が判断し、その後の参加や評価が次の情報環境へ戻っていく循環として設計されています。

このモデルで見落としたくないのが、中央にある「判断」です。電通グループも、AI活用が進んでも最終意思決定を担う人間の判断に着目しています。AIが答えを作るからといって、ブランドへの信頼、体験価値、感情、他者の口コミが不要になるわけではありません。

AISASとは何か

AISAS(アイサス)は、インターネット時代の代表的な購買行動モデルです。広告や投稿で商品を知り、興味を持ち、自分で検索し、購入し、その体験を共有する流れを示します。

AISASでは「Search」が明示され、企業は検索結果で見つかること、SNSで話題になること、購入後に共有されることを重視してきました。現在もこの行動は日常的に行われており、AIJESが発表されたから突然なくなるものではありません。

電通がAIJESとAISASの「並走」を想定する理由

AIJESとAISASを「新旧どちらが正しいか」で比較すると、生活者の実態を見誤ります。重要なのは、同じ商品でも複数の購買経路が存在することです。

AISAS

自分で探して確かめる

  • 検索エンジンやSNSで情報を探す
  • 複数ページや投稿を自分で比較する
  • 購入後に体験を共有する
  • 低関与商材や指名検索でも起こる
AIJES

AIと問答して絞り込む

  • 条件や悩みを会話形式で伝える
  • AIに候補整理や比較を依頼する
  • 人が最後に判断して参加・購入する
  • 評価が次の情報蓄積へ戻る

例えば、いつもの飲料を買うときは検索もAI相談もしないかもしれません。一方、旅行、保険、高額家電、法人サービスのように条件が多い商品では、AIへ相談して候補を絞った後、公式サイトやSNS、レビューを自分で確認する行動が起こりやすくなります。

電通デジタルの2026年調査でも、生成AIを現在利用し、各カテゴリーへの購買意欲がある回答者では、AIへの相談が旅行計画・宿泊予約や金融商品・保険で特に高い一方、AIの推奨をそのまま最終判断として採用する回答は各カテゴリーで2〜3%でした。AIは比較を助けても、人間の判断を完全には置き換えていないと読めます。

「並走」はチャネルの併用でもあります。
AIに質問する、Googleで検索する、InstagramやXで評判を見る、YouTubeで使用感を確認する、店頭で触る。生活者はこれらを一つだけ選ぶのではなく、必要に応じて行き来します。

NEW ORDER ANALYSIS

AI時代のSNSは「集客媒体」から「判断材料が蓄積される場所」へ

AIJESをSNS実務へ引き寄せると、企業投稿の価値はクリック数だけでは測れません。継続的に公開された商品情報、使い方、比較軸、利用者の声、企業の姿勢が蓄積され、AIと人間の双方がブランドを理解する材料になります。

AIが理解できる商品名、用途、対象者、価格、違いなどが一貫して説明されている。
人が信頼できる実物、担当者、利用場面、注意点が見え、AIの回答を確かめられる。
評価が循環する口コミやUGC、質問への回答が次の生活者の判断材料として残る。

AIが商品を選ぶなら、企業SNSは不要になるのか

不要にはなりません。ただし、SNSの役割は変わります。これまで企業SNSは、認知を取り、興味をつくり、リンクをクリックしてもらう入口として評価されることが中心でした。

AIJESの考え方では、その前後も重要になります。ニーズが明確になる前から情報が蓄積され、AIとの問答で候補が整理され、人がSNSや公式情報を見て判断し、購入後の評価が次の購買へ戻ります。

投稿の目的を「今すぐクリック」だけにしない。
保存したくなる説明、比較時に役立つ仕様、利用場面が分かる動画、購入後の疑問を解消する投稿など、後から参照される情報を増やす必要があります。

ここで注意したいのは、「AIに読ませるために不自然な文章を量産する」ことではありません。人が読んで分かりやすく、事実が整理され、公式サイトとも矛盾しない情報は、結果としてAIにも解釈されやすくなります。

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AIJESの5段階で考える企業SNS施策

AIJESを実務へ使うなら、英単語を覚えるだけでは意味がありません。各段階で企業が提供すべき情報を整理します。

A Archive|蓄積

商品情報、選び方、使い方、FAQ、事例を継続的に発信します。プロフィール、投稿、公式サイトで名称や説明を揃え、古い情報は更新します。

I Interaction|問答

生活者がAIへ投げかける質問を想定します。「誰に向くか」「他商品との違い」「失敗しない選び方」など、比較に必要な材料を用意します。

J Judgment|判断

AIの要約だけでは伝わりにくい実物感、担当者の顔、利用場面、デメリットや注意点をSNSで示し、人が安心して判断できる状態をつくります。

E Engagement|参加

購入、来店、問い合わせ、体験、イベント参加など、次の行動を迷わないCTAで示します。投稿とLPの説明が食い違わないようにします。

S Score|評価

購入後の質問に答え、口コミやUGCを集めます。好意的な声だけでなく、不満や誤解も商品改善と次の情報発信へ戻します。

企業がSNS運用で見直すべき5項目

公式情報を揃える

商品名、サービス内容、価格、対象者、問い合わせ先を、Webサイトと各SNSで一致させます。

比較される理由を書く

「高品質です」ではなく、どの条件の人に向き、何が他と違うのかを具体的に示します。

保存される解説を増やす

選び方、手順、チェックリスト、失敗例など、後から参照されるコンテンツを設計します。

人間の判断材料を見せる

写真、動画、担当者、利用者の声、現場の様子など、要約だけでは代替できない情報を出します。

購入後の声を次へ戻す

コメント、問い合わせ、レビューを分析し、FAQ、商品説明、次回投稿へ反映します。

投稿制作へ生成AIを導入する具体的な手順は、関連記事「SNS運用にAIを活用する方法【2026年版】」で詳しく解説しています。

AIJESを万能な法則として扱わない

AIJESは、AI時代の複雑な購買行動を整理するうえで有効なフレームワークです。しかし、すべての生活者が必ずA→I→J→E→Sの順番で動くと証明された法則ではありません。

2026年9月10日の公式発表ではモデルの構成と考え方が示されていますが、業界別の適用率や、各段階を通過する割合などの詳細な検証データは掲載されていません。記事や提案書では「電通グループが提唱」「〜と考えられる」と表現し、「購買行動が完全にAIJESへ変わった」と断定しないことが重要です。

自社データで確かめることが必要です。
検索流入、SNS内検索、保存、指名検索、問い合わせ理由、商談時の質問、購入後レビューなどを見ながら、自社の顧客がどこでAIを使い、どこで人の情報を求めるのかを確認しましょう。

まとめ|AIに選ばれ、人にも確かめられるSNSへ

AIJESが示した重要な変化は、生活者の情報探索にAIとの「問答」が加わったことです。しかし、電通グループがAISASとの並走を想定しているように、人は検索もSNSも使い続け、最終的には自分で判断します。

企業SNSに必要なのは、AI向けと人間向けの施策を分断することではありません。事実が整理され、ブランドの個性が伝わり、利用者の評価が次の改善へつながる情報発信です。投稿一本の反応だけでなく、長期的に何が蓄積されているかを見直すことが、AI時代のSNS運用の出発点になります。

AIJES・AISASに関するよくある質問

AIJESとは何の略ですか?

Archive(蓄積)、Interaction(問答)、Judgment(判断)、Engagement(参加)、Score(評価)の頭文字です。

AIJESによってAISASは古くなりますか?

電通グループは、購買行動の過渡期にはAISASとAIJESがしばらく並走すると説明しています。商品や状況によって、自分で検索する行動とAIへ相談する行動が使い分けられると考えるのが適切です。

AIJES時代にはSEOやSNS対策は不要ですか?

不要ではありません。AIの回答を確認するために公式サイトやSNSを訪れる行動は残ります。また、AIが参照・整理する情報の土台として、正確なWebコンテンツや継続的なSNS発信の重要性が高まります。

企業SNSでは最初に何を変えるべきですか?

プロフィールと公式サイトの商品説明を揃え、よくある質問、比較軸、利用場面を整理するところから始めます。投稿量を増やす前に、情報の矛盾や古さをなくすことが先です。

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Instagramを、AIにも人にも選ばれる情報資産へ。

ニューオーダーは、Instagramの戦略設計から企画、撮影、投稿制作、運用分析まで一貫して支援します。見た目の統一だけでなく、商品を比較・判断するときに役立つ情報が蓄積されるアカウントを設計します。

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参考資料・出典

青山 直樹

メディアを32年、内側から見続けてきました。1994年電通入社、テレビ局担当6年、アジアのメディアビジネス4年。
2004年起業、ゴルフメディアを8年、ソーシャル専業13年。
今はAI時代のSNSを考え、書き、企業に教えています。
東大経済|㍿ニューオーダー代表

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