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01飲食・食品がYouTubeと相性のいい理由
結論から言うと、飲食・食品はYouTubeと相性のいい業種です。理由は3つあります。
見ただけで伝わる
湯気、焼き色、とろみ。味は写真でも伝わりますが、動きと音がつくと「食べたい」の強度が上がります。
「作り方」が検索される
「〇〇 作り方」「〇〇 レシピ」のように、調理工程そのものが検索される分野です。商品や店の名前を知らない人にも届きます。
積み上がる資産になる
SNSの投稿は流れますが、YouTubeは検索と関連動画から再生され続けます。1本の動画が、数カ月後の来店や購入につながることもあります。
ここで一つ、正直に書いておきます。「飲食・食品は必ず伸びる」とは言えません。競合も多く、おいしそうに撮れているだけでは埋もれます。伸びている動画には、誰に何を見せるかの設計があります。それを、次章から実例で見ていきます。
なお、YouTube全体の最近の動きはMade On YouTube 2026の解説記事にまとめています。ここでは業種に絞って話を進めます。
02飲食店とメーカーでは、ゴールが違う
同じ「食」でも、動画に求めるゴールは違います。ここを曖昧にすると、企画も撮り方もぶれます。
飲食店のゴール
来店、予約、通販(お取り寄せ)、採用。商圏が決まっている店ほど、「地域の人に見てもらう」設計が効きます。
食品メーカーのゴール
指名買い、レシピでの利用シーン提案、BtoBの問い合わせ(飲食店・小売への営業)。「食卓に採用される理由」を見せる動画が中心になります。
先にゴールを一つに絞る
全部を狙うと、動画の最後に出す案内(概要欄・固定コメント)が散らかります。「来店」か「通販」か「商品指名」か、まず1本の動画につき1つを決めてください。
03事例1:店主が裏側を見せる(ラーメンろたす)
CASE 01 / 裏側公開型(個人店・店主出演)
ラーメンろたす「【全て見せます】600人分のヤバいラーメンタレの作り方」
チャンネル:ラーメンろたす YouTubeで見る
どんな動画か
動画タイトルのとおり、ラーメンの味の核である「タレ」を、600人分の仕込み量で最初から見せる内容です。普通は店の秘密として隠す工程を、あえて「全て見せます」と打ち出しているのが特徴です。
チャンネルは公式サイト上で2019年10月の開設とされています。また、登録者数・再生数を集計する外部サイト(ユーチュラ)では、2026年10月4日時点で登録者約29.9万人、総再生回数約1.3億回、動画281本と表示されていました。※いずれも外部サイトの集計値で、YouTube公式の数字ではありません。
学べる点
隠さないことが、信頼になる
工程を見せても、同じ味を再現するには仕入れや経験が要ります。見せることで「ここまで手間をかけている」が伝わり、店への信頼が積み上がります。
店主が出ると、店に顔がつく
店の外観やメニューだけでは差がつきません。話す人がいるチャンネルは、「あの人の店」として覚えてもらえます。
「業務の副産物」で撮れる
特別な企画を用意するより、毎日やっている仕込みを撮るほうが続きます。続けられることが、型としての強みです。
真似するときの注意
この型は店主の人柄に大きく依存します。「ラーメンろたすと同じ構成にすれば伸びる」という話ではありません。また、レシピをどこまで公開するかは、店の判断です。再現されて困る工程と、見せて信頼になる工程を、撮る前に分けてください。
04事例2:メーカー公式のレシピ動画(ミツカン)
CASE 02 / メーカー公式レシピ型
ミツカン公式「無限そうめんの作り方【ミツカン公式】」
チャンネル:ミツカン公式チャンネル YouTubeで見る
どんな動画か
食品メーカーのミツカンが、公式チャンネルで公開しているレシピ動画です。タイトルは「〇〇の作り方」と、検索されやすい形になっており、末尾の【ミツカン公式】で、運営元が一目で分かります。
「無限〜」という呼び名は、手が止まらなくなるおいしさを示す、レシピ界隈でよく使われる言い方です。商品の説明から入るのではなく、「食べたい料理」を入口にして、自社商品の使いどころはその中で見せるのが、メーカー公式レシピ動画の基本形です。動画内で具体的にどの商品がどう使われているかは、実際にご覧になって確認してください。
学べる点
入口は料理、出口は商品
「商品の説明」より「作ってみたい」のほうが、再生のきっかけになります。商品は、作る過程の中で自然に登場させるのが基本です。
公式表記が安心感になる
【公式】とあるだけで、情報の出どころが明確になります。食品は特に、誰が出している情報かが信頼に直結します。
検索される言葉をタイトルに
「作り方」「レシピ」など、見る人が検索で使う言葉を入れます。メーカー名を知らない人にも届く入口になります。
真似するときの注意
中小メーカーが大手と同じ予算の動画を作る必要はありません。ただし、健康効果や味の優位性を断定する表現は避けてください。商品の表示や広告表現のルールを、動画のナレーション・テロップにも同じ基準で適用します(8章参照)。
05事例3:タイアップと提供表記(スシロー×なにわ男子)
CASE 03 / タイアップ型(外部チャンネルとの協業)
なにわ男子「【初の大食いチャレンジ】スシロー全メニュー食べ尽くせ」
チャンネル:なにわ男子 YouTubeで見る
どんな動画か
アーティストのチャンネルで、回転寿司チェーンのスシローを舞台に「全メニューを食べ尽くす」企画に挑む動画です。執筆時点で動画の概要欄を確認したところ、「提供:スシロー」と、タイアップであることが分かる表記がありました。
自社チャンネルでは届かない層に、相手のチャンネルの視聴者を通じて届ける。これがタイアップ型の狙いです。
学べる点
相手の視聴者に届く
自社の登録者が少なくても、既に視聴者のいるチャンネルで紹介してもらえば、短期間で認知を取れます。
企画は「店の強み」と合わせる
全メニューという企画は、メニュー数の多いチェーンだからこそ成立します。相手の企画に、自社の強みがはまるかが肝です。
提供表記は、必ず入れる
広告であることが視聴者に分からない状態は、ステルスマーケティングとして規制の対象になります。
ステマ規制を押さえる(2023年10月1日施行)
景品表示法の運用として、広告であるのに広告と分からない表示は不当表示として規制されています(消費者庁「ステルスマーケティング規制」)。動画では、概要欄だけでなく、見る人が気づきやすい位置に「提供」「PR」などの表記を入れる必要があります。規制の対象は、広告主である事業者(店・メーカー)です。クリエイターへの依頼時に、表記の方法をルール化してください。詳細は消費者庁の解説ページを参照してください。
中小の飲食店が、全国区のアーティストと協業する場面は多くありません。ただし地域のクリエイターに紹介してもらう場合も、考え方は同じです。無償で食事を提供して投稿してもらう場合も、広告にあたると判断される可能性があるため、表記は入れてもらってください。
063つの型の選び方
裏側公開型が向く店
店主や職人が話せる。仕込みや調理を撮れる時間がある。続けることを前提に、長期で育てたい店。
メーカー公式レシピ型が向く会社
調味料・冷凍食品・加工食品など、家庭や飲食店で「使われる場面」を見せられる商品がある会社。
タイアップ型が向く場面
新店舗・新商品の立ち上げなど、短期間で認知が欲しいとき。予算と、提供表記のルール整備が必要。
どれか一つに決める必要はありません。多くの場合、自社チャンネルで型①か②を続けながら、ここぞの場面だけ③を足す形が現実的です。
当社のYouTube運用支援ページには、飲食チェーンで「1週間で20万再生」、食品メーカーで「1本あたり約1万再生・問い合わせが前年比200%」といった、ページ掲載の事例があります(事例の詳細を見る)。数字は個別のケースの結果で、すべての店・メーカーに当てはまるものではありません。
07飲食・食品で企画が尽きない7つのネタ
1. 仕込み・裏側
毎日の仕込みをそのまま撮る。事例①の型。
2. 作り方・レシピ
家庭で再現できる形で見せる。事例②の型。
3. 食べ比べ
自社の商品・メニュー同士、または種類違いの比較。断定的な優劣表現は避ける。
4. 店主・職人の1日
朝の市場から閉店まで。人柄が伝わる。
5. 開発ストーリー
新商品・新メニューができるまでの試行錯誤。
6. お客さんの食べる瞬間
撮影と掲載の許可を取った上で、反応を見せる。
7. よくある質問に答える
「あのメニューの量は?」「アレルギー対応は?」など、問い合わせの多い内容を動画にする。
Shortsに切り出して入口を広げる方法もあります。短尺の最新の動きはYouTube Shortsのアップデート解説記事にまとめています。
CASE 04 / シズル動画(当社制作)
ステーキのどん「激アツステーキ」新登場!
チャンネル:アークミール公式チャンネル YouTubeで見る
番外編として、当社が制作に関わった動画を1本紹介します。ステーキのどんの新メニュー「激アツステーキ」を告知する、シズル(おいしさの質感)を主役にした動画です。前の3本が「人」「レシピ」「タイアップ」を見せる型だったのに対し、こちらは新メニューの告知を、料理の見せ方だけで伝える型です。
飲食店の新メニュー告知は、出演者がいなくても成立します。焼き色、音、湯気といった要素を、短い尺でどう切り取るか。撮影・編集で差が出る領域のため、制作面の相談は撮影から編集まで対応するYouTube運用代行でも受け付けています。
08撮る前に確認したい権利・表示・衛生
飲食・食品は、動画づくりで見落としやすい論点がいくつかあります。以下は一般的な注意点です。個別の判断は、保健所、顧問の専門家、または各権利者に確認してください。
BGM・音楽
店内BGMや市販の楽曲が映像に入ると、権利の問題が生じ得ます。YouTubeが提供する利用可能な音源か、利用許諾の取れた音源を使います。
お客さんの写り込み
店内で撮る場合は、お客さんの顔が映らない時間帯・角度にするか、事前に許可を取ります。
商品の表示・効果の言い方
「健康に良い」「痩せる」といった断定は、広告表現の規制に触れるおそれがあります。ナレーションとテロップも同じ基準で確認します。
アレルギー・原材料
レシピ動画で原材料を示す場合、正確に。表示が必要な情報は、概要欄にも整理します。
撮影時の衛生
撮影のために調理場に人や機材が入る場合は、衛生管理のルールを事前に決めます。営業時間外の撮影が基本です。
提供・PR表記
タイアップ、無償提供、アンバサダー契約など、対価が絡む場合は必ず表記します(5章)。
09内製か外注か。工数の現実
動画1本の裏には、企画、台本、撮影、編集、サムネイル、投稿設定、分析があります。店舗や工場を回しながら、これを継続するのが最大の壁です。
内製が向く
店主や広報担当に時間がある。まず月に数本から始め、型を作りたい。
一部を外注
撮影・編集だけを任せて、企画と出演は自社で。人柄を残しつつ、工数を減らせる。
全体を外注
企画・撮影・MC・台本・広告配信まで一括で任せたい。
当社では、撮影代行・MC・台本まで対応するYouTube運用代行を提供しています。費用や進め方は外注範囲の考え方で確認できます。なお、「外注すれば伸びる」と約束することはできません。企画の設計と、継続できる体制のほうが重要だと考えています。
飲食店・食品メーカーのYouTube、どこから始めるか
動画を外に任せるか、社内で回せるようにするか。状況に合わせて選べます。
10よくある質問
Q. 飲食店でもチャンネル登録者が少ないと意味がありませんか?
登録者数が少なくても、検索や関連動画から再生される可能性はあります。まずは「作り方」「仕込み」など検索されやすい内容から始め、1本ずつ積み上げるのが現実的です。
Q. レシピを公開すると、真似されませんか?
真似される可能性はあります。見せる工程と見せない工程を分けるか、公開しても差がつく部分(仕入れ、技術、人柄)に価値を置く考え方があります。事例①のように、公開することで信頼を得る戦略もあります。
Q. お客さんに紹介してもらう動画は、広告表記が必要ですか?
対価(無償提供を含む)が絡み、依頼した内容を投稿してもらう場合は、広告にあたると判断される可能性があります。「提供」「PR」の表記をお願いしてください。判断に迷うときは専門家に確認してください。
Q. YouTubeとInstagram、どちらを先にやるべきですか?
目的によります。「作り方・レシピ」のように検索される内容はYouTube、「雰囲気・新メニューの告知」はInstagramが向きます。両方やるなら、同じ素材をShorts・リールに使い回す形が効率的です。
Q. 動画の撮影は、どのくらいの頻度が必要ですか?
決まった数はありません。続けられる頻度が最優先です。無理のない月2〜4本から始めて、反応を見て調整するのが現実的です。
※本記事は2026年10月時点の情報で、動画・チャンネルの数値や状況は変わる場合があります。ご紹介した動画は、各投稿者の公開動画を埋め込みで紹介するものです。うち「ステーキのどん」の1本は当社が制作に関わったもので、他の3本は当社が制作に関わったものではありません。事例の評価は当社の見解です。法令・表示に関する記載は一般的な情報で、個別の案件については専門家にご確認ください。
参考:アークミール公式チャンネル(YouTube)/ラーメンろたす(YouTube)/ミツカン公式チャンネル(YouTube)/なにわ男子(YouTube)
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