01結論:解禁されるのは「YouTube枠のパーソナライズ」。年齢と表示のルールは変わらない
1. 解禁の範囲はYouTubeの広告枠
2026年10月30日から、法律で認められている地域では、YouTubeの広告枠で酒類のパーソナライズ広告を配信できるようになります。ほかの広告面は、今後案内するとされています。
2. 禁止のままのルールがある
18歳未満へのパーソナライズ、アルコールに関する健康情報を使ったターゲティング、年齢制限は続きます。表現のルールも変わりません。
3. 日本では18〜19歳に注意
Googleが自動で止めるのは18歳未満です。日本の飲酒年齢は20歳なので、18〜19歳に届かない設計を、広告主が自分で考える必要があります。
この記事の前提
本記事は、Googleの公式ポリシー、法律、国税庁が掲載する業界の自主基準などの公開情報をもとにした一般的な解説で、法的助言ではありません。個別の判断は、所属する業界団体や専門家に確認してください。
022026年10月30日から何が変わるのか
Googleは2026年9月3日、広告ポリシーの更新として、次の内容を発表しました。
適用開始
2026年10月30日。
対象の広告面
YouTubeの広告枠(インベントリ)。ほかの広告面については、利用できるようになり次第、追加で案内するとしています。
対象の商品
酒類、酒類関連の商品、そしてノンアルコール飲料などのアルコール代替飲料。
条件
その地域の法律で認められていること。
対象外の国
エジプト、インド、インドネシア、ポーランド。日本は含まれていません。
更新の理由
広告主の関心の高まり、新しい商品カテゴリの登場、管理機能とデータ保護の改善が挙げられています。
Googleの酒類広告ポリシーでは、日本は酒類の広告を出せる国に含まれていて、事前の認証が必要な国(エジプト、インド、インドネシア)にも当たりません。
03今のルール:アルコールは「機密性の高い関心カテゴリ」
今回の変更の意味を知るには、今のルールを押さえておく必要があります。Googleのパーソナライズ広告ポリシーでは、アルコールは「機密性の高い関心カテゴリ」に分類されています。
使えないデータ
広告主がアップロードしたオーディエンス。具体的には、カスタマーマッチ、データセグメント(リマーケティング用のリストなど)、オーディエンス拡張、類似セグメントです。
使えるデータ
Googleがあらかじめ用意したオーディエンス。インマーケットセグメント、アフィニティ、デモグラフィック、ライフイベント、位置情報などです。
注意したいキャンペーン
デマンドジェネレーション(Demand Gen)キャンペーンは、既定で広告主のオーディエンスを使うため、機密性の高いカテゴリの商品では配信が制限される場合があります。
当社の読み解き
今回の更新は、この「アルコールは自社データを使えない」という制限を、YouTubeの広告枠で緩めるものと考えられます。ただし、発表のページには、カスタマーマッチやリマーケティングのうち、具体的にどれが使えるようになるかは書かれていません。10月30日以降に、ポリシーのページと実際の設定画面で確認してください。
04変わらないこと:禁止のままのルール
ターゲティングのルール
18歳未満にはパーソナライズしない
18歳未満のユーザーは、Googleの定義済みオーディエンスを含め、あらゆるパーソナライズ広告の対象になりません。
健康情報は使わない
アルコールに関する健康情報を使ったターゲティングは、「健康」の機密性の高い関心カテゴリとして、引き続き禁止されます。
購入できる年齢未満を対象にしない
その国でお酒を買える年齢未満の人を、主な対象にする広告は禁止です。日本では20歳未満にあたります。
表現のルール(Googleの酒類広告ポリシー)
禁止される表現
過度な飲酒や無責任な飲酒をすすめる表現。アルコールが運動能力・知力を高める、社会的・性的な成功につながると示す表現。健康効果や治療効果をにおわせる表現。
未成年に関すること
未成年に訴えるテーマ、キャラクター、音楽、ゲームを使うこと。未成年や妊娠中の人の飲酒を描くこと。
ノンアルコール飲料
アルコール度数0.5%未満の飲料と、0%の代替飲料は広告できます。
05日本で守るべき法律と業界の自主基準
法律:お酒は20歳から
日本で20歳未満の飲酒を禁じているのは、「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」(大正11年)です。成年年齢は2022年4月に18歳に引き下げられましたが、飲酒できる年齢は20歳のままです。酒類の容器の表示には、国税庁の「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」(平成元年国税庁告示第9号)があります。
業界の自主基準(令和8年7月1日に最終改正)
酒類の業界団体でつくる「飲酒に関する連絡協議会」は、「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」を定めています。法律ではありませんが、酒類メーカーの多くがこの基準に沿って広告を作っています。
インターネット広告
20歳未満を対象にしない。20歳未満向けの媒体に出さない。20歳未満をモデルに使わない。注意表記を、読める大きさで入れる。
入れるべき注意表記
「20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています」、「飲酒運転は法律で禁止されています」、妊娠中・授乳期の飲酒への注意、「飲みすぎに注意」など。
禁止される表現
イッキ飲みなど過度な飲酒をすすめる表現。依存をすすめる表現。スポーツ中・入浴中の飲酒。清涼飲料と間違われる見せ方。20歳未満に訴える表現。
テレビ・ラジオだけの基準
モデルは25歳以上、視聴者の7割以上が成人の番組、テレビは5時〜18時に流さない、といった基準は、テレビ・ラジオが対象です。インターネットには直接はかかりません。
YouTubeは動画の広告なので、テレビの感覚で作られることがよくあります。テレビだけの基準と、インターネットにもかかる基準を分けて確認してください。
06実務上の最大の論点:18〜19歳の扱い
ここが、日本で酒類のYouTube広告を出すときの、いちばん大きな落とし穴です。
Googleが止めるのは18歳未満
パーソナライズ広告の対象から自動で外れるのは、18歳未満です。18〜19歳は、Googleの仕組みの上では成人として扱われます。
日本の飲酒年齢は20歳
法律は20歳未満の飲酒を禁じ、業界の自主基準は20歳未満を対象にした広告をしないことを求めています。18〜19歳に届く設計は避けるべきです。
年齢の区切りは「18〜24歳」
Google広告の年齢の区分は「18〜24歳」がひとまとまりで、18〜19歳だけを外すことはできません。
当社の見立て
酒類そのものの広告では、年齢の区分「18〜24歳」をまとめて除外する設計が、もっとも確実です。20〜24歳に届かなくなるのは損失ですが、自主基準の「20歳未満を対象にしない」に沿いやすくなります。あわせて、年齢が「不明」のユーザーの扱いも、クライアントと決めておきます。これは法律の要件ではなく、当社の実務上の判断です。最終的な判断は、所属する業界団体の基準と、社内の法務の確認に沿ってください。
20代前半に届けたい場合は、年齢を確認できるキャンペーンの申し込みページや、20歳以上が中心の媒体・番組との組み合わせなど、パーソナライズ以外の方法も検討します。
07ほかの広告媒体の年齢制限との違い
LINEヤフー広告
2026年7月16日から、ディスプレイ広告で、年齢ターゲティングの設定に関係なく、20歳未満にはアルコール飲料の広告が配信されなくなりました。媒体の側で、日本の飲酒年齢に合わせて止める仕組みです。
Google(YouTube)
媒体の側で自動で止めるのは18歳未満へのパーソナライズまでです。18〜19歳への配慮は、広告主の設定に任されています。
Meta(Instagram・Facebook)
年齢の要件は、配信前にMetaの広告ポリシーと広告マネージャの設定画面で確認してください。
同じ「酒類の広告」でも、媒体によって、どこまで自動で止めてくれるかが違います。複数の媒体に出す場合は、媒体ごとに年齢の設定を確認する運用にします。
0810月30日以降に試す手順と、配信前のチェックリスト
小さく試す手順
1. 設定画面を確かめる
10月30日以降に、広告アカウントで、どのオーディエンスが使えるようになったかを確認します。設定画面に表示されたことだけで判断せず、ポリシーのページの更新もあわせて確認します。
2. 既存のキャンペーンと分ける
新しいオーディエンスを使うキャンペーンは、既存のものと分けて作ります。成果を比べやすく、問題があったときに止めやすくなります。
3. 少額で検証する
予算を小さく区切って、配信量、視聴率、サイトへの流入、購入などを比べます。
4. 審査と配信の状況を見る
広告の審査結果と、配信が制限されていないかを確認します。制限があれば、ターゲティングやクリエイティブを見直します。
配信前のチェックリスト
年齢
年齢の区分「18〜24歳」と「不明」の扱いを決めた。20歳未満に届かない設計になっている。
オーディエンス
健康に関する情報を使っていない。自社データを使う場合は、使える範囲をポリシーで確認した。
クリエイティブ
注意表記(20歳未満の飲酒禁止、飲酒運転、妊娠中・授乳期、飲みすぎ注意)を、読める大きさで入れた。
表現
過度な飲酒、健康効果、成功との結びつけ、未成年に訴える要素がない。
出演者
20歳未満の人が出ていない。
配信先・地域
20歳未満向けのチャンネルや面に出ない設定にした。配信地域が、酒類の広告を出せる国に限られている。
酒類メーカーのYouTubeの使い方は、飲食店・食品メーカーのYouTube活用も参考になります。YouTube広告の運用の数字は、YouTube広告運用代行の実例で紹介しています。
酒類の広告配信を、ルールを守りながら設計する
ニューオーダーはJICDAQの品質認証事業者です。年齢の設定、オーディエンスの範囲、クリエイティブの確認まで、配信前の設計から相談できます。
JICDAQの認証については、JICDAQ認証の記事で紹介しています。
09よくある質問
Q. YouTubeで、お酒のパーソナライズ広告は出せるようになりますか?
Googleは、2026年10月30日から、法律で認められている地域のYouTubeの広告枠で、酒類のパーソナライズ広告を配信できるようにすると発表しました。対象外の国はエジプト、インド、インドネシア、ポーランドで、日本は含まれていません。
Q. リマーケティングやカスタマーマッチは使えるようになりますか?
今のルールでは、アルコールは「機密性の高い関心カテゴリ」で、広告主がアップロードしたオーディエンス(カスタマーマッチ、データセグメント、類似セグメントなど)は使えません。今回の更新でYouTubeの広告枠のどこまでが使えるようになるかは、発表のページに具体的な記載がないため、10月30日以降にポリシーと設定画面で確認してください。
Q. 18歳・19歳に配信してしまうことはありますか?
あり得ます。Googleが自動でパーソナライズ広告の対象から外すのは18歳未満です。日本の飲酒年齢は20歳なので、年齢の区分「18〜24歳」の扱いを、広告主が自分で決める必要があります。
Q. ノンアルコール飲料の広告にも、同じルールがかかりますか?
Googleのポリシーでは、アルコール度数0.5%未満の飲料と、0%のアルコール代替飲料は広告できます。今回の更新の対象商品にも、アルコール代替飲料が含まれています。自主基準の扱いは、所属する業界団体に確認してください。
Q. 広告に入れるべき注意表記は何ですか?
業界の自主基準では、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています」、「飲酒運転は法律で禁止されています」、妊娠中・授乳期の飲酒への注意、「飲みすぎに注意」などの表記を求めています。インターネット広告では、読める大きさで入れることとされています。
Q. テレビCMの素材を、そのままYouTube広告に使えますか?
使える場合もありますが、確認が必要です。テレビだけの基準(モデルの年齢など)と、インターネットにもかかる基準は異なります。注意表記の大きさや、配信先の設定も、YouTube用に見直してください。
10まとめ|「届けられる人」が広がっても、「届けてはいけない人」は変わらない
2026年10月30日の更新で、酒類の広告主は、YouTubeでより細かく届けたい人を選べるようになる見込みです。一方で、20歳未満に届けない、過度な飲酒をすすめない、注意表記を入れる、というルールは変わりません。
特に日本では、Googleの年齢の区切りと飲酒年齢のずれから、18〜19歳の扱いを広告主が自分で決める必要があります。新しい機能を試す前に、年齢・オーディエンス・クリエイティブの3点を確認してから配信してください。
※本記事は2026年10月23日時点の公開情報をもとにした一般的な解説で、法的助言ではありません。ポリシーや自主基準は改正されることがあるため、最新版をご確認ください。個別の判断は、所属する業界団体や専門家にご相談ください。
参考:Google広告:アルコールに関するポリシーの更新(2026年9月3日)/Google広告ポリシー:アルコール/Google広告ポリシー:パーソナライズ広告/国税庁掲載:酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準(令和8年7月1日最終改正)/東京国税局:20歳未満飲酒防止に関するもの/LINEヤフー for Business:年齢制限の対象となる商品・サービスの追加について
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