弁護士のInstagram・SNS集客|リールで伸ばす型と、日弁連の広告規程で守る5つのルール【2026年版】

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弁護士のInstagram・SNS集客|リールで伸ばす型と、日弁連の広告規程で守る5つのルール

LAWYER × INSTAGRAM / 2026

弁護士のInstagram・SNS集客 / 法律事務所の運用

弁護士のInstagram集客。
リールで伸ばしながら、広告規程を守る方法。

弁護士の登録者数は、48,057人です(2026年9月1日現在、日本弁護士連合会)。離婚・相続・債務整理など、個人が弁護士を探す場面では、「相談しやすそうか」という印象も、依頼先を選ぶ材料の一つになると考えられます。Instagramは、その印象を、相談の前に届けられる媒体です。

ただし、弁護士のSNSは、日弁連の「弁護士等の業務広告に関する規程」の対象になり得ます。勝訴率や解決実績、依頼者の話を、そのまま投稿に使えないのが、一般の事業者との最大の違いです。この記事では、リールで伸ばす型と、守るべき規程の線引きを、分野別に整理しました。

最終更新:2026年10月7日|情報源:日本弁護士連合会(会員数、業務広告に関する規程・指針)ほか

弁護士Instagram集客法律事務所広告規程守秘義務リール

先に、結論を

向いています。特に、離婚・相続・交通事故・債務整理など、個人の相談分野です。ただし、投稿の軸は、「法律(制度)の解説」と「人柄」です。訴訟の勝訴率、顧問先・依頼者・受任中の事件・過去の事件(書面による同意がない場合)は、表示できません。「専門」「No.1」「今すぐしないと損」といった表現も使えません。広告には、氏名と所属弁護士会の表示も必要です。ルールを先に決めたうえで、リールで入口をつくります。

この記事の位置づけ

公表されている資料にもとづく一般的な整理であり、法律上の助言ではありません。個別の表示が適合するかは、所属の弁護士会や、広告規程に詳しい専門家にご確認ください。

SECTION 01 / WHY

弁護士にInstagramはおすすめか

まず、事実から入ります。

日本弁護士連合会の会員数は、弁護士48,057人(うち女性10,085人)、弁護士法人1,907法人です(2026年9月1日現在)。弁護士の数が増えるなかで、「どの弁護士に相談するか」を選ぶ場面は、広がっています。

LAWYER DATA / 会員数と規程

弁護士48,057人(うち女性10,085人。2026年9月1日現在)
弁護士法人1,907法人
広告の根拠日弁連会則第29条の2、「弁護士等の業務広告に関する規程」(会規第44号)、「業務広告に関する指針」
規程上の「広告」口頭・書面・電磁的方法その他の方法による、顧客または依頼者となるように誘引することを主たる目的とする情報の伝達・表示(第2条)。SNSの投稿も該当し得る
懲戒の考え方弁護士法第56条は、会則違反や品位を失うべき非行を、懲戒の対象としている

※ 日本弁護士連合会の会員数ページ、業務広告に関する規程・指針、弁護士法にもとづく。

Instagramの役割は、「入口」と「裏づけ」

法律相談は、「相談するのに勇気が要る」場面が多い分野です。Instagramが担う役割は、次の3つに整理できます(これは考え方の整理で、調査データではありません)。

ROLE 01

相談前の不安を下げる

「弁護士に相談すると、どうなるのか」という不安に、手続きの流れや、相談の進め方を伝えることで答えます。

ROLE 02

紹介・検索のあとの裏づけになる

紹介された相手や、検索で見つけた相手が、プロフィールや投稿を見て、人柄や得意な話し方を確かめます。

ROLE 03

採用の入口にもなる

事務所の雰囲気や、働き方を発信すると、依頼者向けと採用向けの両方に使えます。

向きやすい分野

離婚・男女問題
相続・遺言
交通事故
債務整理
労働問題(残業代・解雇)

優先度が下がる分野

企業法務・M&Aなど、紹介と取引関係が中心の分野
会社の担当者が、Instagramで弁護士を探す場面が少ない分野
※ 企業向けは、セミナー、コラム、紹介との併用が向く

SECTION 02 / RULES

広告規程|守る5つのルール

弁護士の広告は、2000年に解禁されました。日弁連会則第29条の2は、弁護士が自己の業務について広告をすることができると定めています。ただし、日弁連の定めに反しない範囲です。その定めが、「弁護士等の業務広告に関する規程」(会規第44号)と、解釈・運用の「業務広告に関する指針」です。

規程第3条が禁止する広告は、7つ

事実に合致していない広告
誤導または誤認のおそれのある広告
誇大または過度な期待を抱かせる広告
困惑させ、または過度な不安をあおる広告
特定の弁護士・法律事務所と比較した広告
法令または日弁連・弁護士会の会則・会規に違反する広告
弁護士の品位または信用を損なうおそれのある広告

このうち、Instagramの投稿で特に注意が要る点を、5つのルールにまとめました。

RULE 01

事実と異なる表示、誤導する表示、結果の保証をしない

「必ず勝てます」「確実に慰謝料を取ります」は、誇大または過度な期待を抱かせる広告にあたります。経歴や実績の表示も、事実にもとづき、誤認させない書き方にします。

RULE 02

訴訟の勝訴率を出さない。「成功率」「解決率」も慎重に

規程第4条第1号は、訴訟の勝訴率を、表示できない事項としています。回収率・成功率・解決率なども、勝訴率に近い誤認や、景品表示法上の根拠の問題を生じ得るため、表示と根拠資料の確認が要ると整理されています。

RULE 03

他の事務所と比較しない。「専門」「No.1」に注意する

「○○事務所より豊富なスタッフ」のような比較は、禁止されています。「専門」「得意分野」の表示は、指針上、控えるのが望ましいとされ、「強い」といった表現も、客観的な裏づけがないと、誤導のおそれが生じます。

RULE 04

不安をあおらない、焦らせない

「今すぐ請求しないとあなたの過払金は失われます」のように、不安を駆り立てて行動を急かす表現は、規程第3条第4号に反する例として、指針に挙げられています。期限は、事実を淡々と伝えます。

RULE 05

依頼者・受任中の事件・過去の事件を出さない

規程第4条は、顧問先・依頼者、受任中の事件、過去に取り扱った事件の表示を、原則として禁止しています。書面による同意がある場合などの例外があります。次章で整理します。

氏名と所属弁護士会の表示も、忘れない

規程第9条は、広告中に、弁護士の氏名と、所属弁護士会を表示しなければならないと定めています。Instagramでは、プロフィールに表示するのが、実務的な方法です。表示の方法や、投稿ごとに必要かどうかは、日弁連の指針と、所属弁護士会の案内で確認してください。

品位を損なう演出にも、注意

規程第3条第7号は、弁護士の品位または信用を損なうおそれのある広告を禁止しています。指針には、奇異、低俗または不快感を与える広告、「用心棒弁護士」といった表現、ことさら残酷または悲惨な場面を利用した広告が、例として挙げられています。リールの演出や、キャッチーなタイトルを考えるときに、確認が要る点です。

医療の分野でも、同じように「投稿の中身が広告にあたる」整理が進んでいます。規制のある業種の運用の考え方は、クリニックのInstagram運用と医療広告ガイドラインも参考になります。

SECTION 03 / CONFIDENTIALITY

守秘義務と、依頼者の話の扱い

弁護士法第23条は、弁護士が、職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負うと定めています。広告規程第4条も、依頼者に関わる事項の表示を、次のように制限しています。

規程第4条で、原則として表示できない事項

訴訟の勝訴率
顧問先または依頼者(書面による同意がある場合を除く)
受任中の事件(書面による同意がある場合などを除く)
過去に取り扱い、または関与した事件(書面による同意がある場合、広く一般に知られている事件、依頼者が特定されない場合などを除く)

Instagramで起きやすい漏れ

相談室や待合室の背景に写り込んだ書類、パソコン画面、依頼者の持ち物
「先日の相談者様」「最近多い事件」など、特定につながる言い回し
匿名にしたつもりでも、事件名・地名・時期から、依頼者が分かる投稿
事務員・スタッフの個人アカウントでの、依頼者に関する発信

事例は「書面の同意」か「一般化」の二択

指針は、書面による同意について、同意の範囲、有効期限その他必要な事項を明示して得ることを求めています。口頭の了解や、包括的な同意では足りません。投稿の材料にするなら、書面で同意を得るか、「よくある相談」として一般化し、特定できない形に変えるか、のどちらかです。依頼者が特定されない場合でも、依頼者の利益を損なうおそれがないかを、確認します。

SECTION 04 / FIELDS

分野別の投稿設計

どの分野でも、投稿の軸は「法律の解説」と「人柄」です。分野ごとに、検討者が抱えやすい不安と、一般的な情報として扱える内容、注意点を整理しました。制度や期限は改正されることがあるため、投稿前に、最新の法令で確認します。

離婚・男女問題

検討者の不安

費用や期間がどれくらいか
子どもや財産はどうなるか
相手に知られずに相談できるか

投稿で扱える内容

協議・調停・裁判の手続きの流れ
養育費や財産分与の、一般的な仕組み
相談に持っていくと役立つ資料
相談の流れ

注意:「慰謝料が必ず取れる」「親権が取れる」の断定。依頼者の事例。「放置すると不利に」と煽る表現。

相続・遺言

検討者の不安

何から始めればよいか
期限があるのか
家族でもめないか

投稿で扱える内容

相続放棄の期限(自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月)の、一般的な説明
遺言の種類と、遺留分の基本
相続手続きの流れ

注意:期限を使った「今すぐ」の脅し。「必ず納得の分割に」の保証。家族関係が特定できる事例。

交通事故

検討者の不安

示談に応じてよいか
後遺障害の等級はどうなるか
弁護士費用が心配

投稿で扱える内容

事故後の対応の流れ
通院や記録の、一般的な注意
弁護士費用特約の、一般的な仕組み
相談のタイミング

注意:「慰謝料が○倍に」などの数字、解決実績の件数、他の事務所との比較。

債務整理

検討者の不安

家族に知られないか
取り立てがどうなるか
生活にどんな影響があるか

投稿で扱える内容

任意整理・個人再生・自己破産の、一般的な違い
手続きの流れ
相談前に整理しておく情報

注意:「今すぐ手続きしないと失われます」型の表現(規程の指針に違反例として挙がる)。「借金がゼロに」の断定。

労働問題(残業代・解雇)

検討者の不安

会社に知られないか
証拠は何を集めればよいか
請求できる期間があるのか

投稿で扱える内容

残業代請求の、一般的な考え方と時効
解雇の一般的なルール
証拠として役立つ資料の例

注意:「必ず請求できる」の断定。会社名が分かる事例。時効などの数字は、最新の法令で確認する。

ハッシュタグは、1投稿5個までです(2025年12月の公式発表)。詳しくは、インスタのハッシュタグは5個までで解説しています。

NEW ORDER / INSTAGRAM

広告規程を踏まえた、継続できる運用を。

法律事務所のInstagramは、投稿を作る前に、確認の手順を決めておくことが肝心です。広告規程と守秘義務の確認工程を含めて、運用を設計します。

OPTION 01 / 任せる

Instagram運用代行

アカウント設計から投稿制作、分析改善まで。公開前の確認工程を含めて設計します。

OPTION 02 / 所内で回す

AI×SNS企業研修

投稿の企画から公開前の確認まで、所内で回せる手順を作る研修です。誰が何を確認するかを、事務所仕様のマニュアルに残します。

相談だけでも承ります。

SECTION 05 / PROFILE

プロフィールとハイライトの設計

依頼者候補が最初に見るのは、プロフィールです。「専門」や「強い」といった評価の言葉を並べるほど、規程に触れやすくなります。

見直したい書き方

「離婚専門」「相続に強い」
「勝訴率90%」「解決率No.1」
「必ず解決」「確実に取り戻します」
氏名・所属弁護士会の表示がない

安全な書き方の型

①事務所名・弁護士の氏名・所属弁護士会
②取扱分野(離婚、相続、交通事故など)
③初回相談の案内(相談料は、事実で示す)
④予約・問い合わせのリンク

ハイライトの構成

HIGHLIGHT 01

相談の流れ

問い合わせから、面談、見積もり、依頼までの手順を載せます。相談前の不安を減らす、いちばん効く情報です。

HIGHLIGHT 02

取扱分野

対応できる分野を、事実で示します。「専門」ではなく、「取り扱っている分野」として書きます。

HIGHLIGHT 03

費用の考え方

費用を載せる場合は、内容・範囲・条件を併記します。「安い」などの評価語は使いません。

HIGHLIGHT 04

よくある質問

法律の一般的な説明にとどめます。個別の判断が要る質問は、相談へ案内します。

HIGHLIGHT 05

事務所紹介・採用

弁護士・スタッフの紹介、所内の雰囲気を伝えます。依頼者向けと、採用向けを兼ねます。

SECTION 06 / REELS

フォロワーを伸ばすなら、リール|型と、弁護士ならではの注意

フォロワーを増やすことが目的なら、リールがおすすめです。リールは、フォロワー以外のユーザーにも、リールタブや発見タブで表示されるためです。

なぜ、リールなのか

WHY 01

フォロワー以外に届く

フィード投稿やストーリーズは、フォロワーが見る場所が中心です。リールは、まだフォローしていない人にも表示されます。フォロワーを増やす入口として、最も向いた形式です。

WHY 02

伸びる指標が「見られ方」と「シェア」

Instagramの責任者アダム・モセリ氏は、2025年1月に、ランキングの主な要素として、視聴時間、いいねの率、シェア(DM送信)の率を挙げたと報じられています。フォロワー以外に届けるうえでは、シェアが特に重要とされます。冒頭で引き込み、最後まで見られ、「誰かに送りたい」と思われる設計が、効きます。

WHY 03

相談の入口へ、つなげる設計にする

リールで見つけてもらい、プロフィールとハイライトで、相談の入口へ案内します。フォロワー数より、相談につながる動きが目的です。

フォロワー数が、目的ではありません

目的は、依頼者候補に届き、相談につながることです。リールは広く届く分、依頼者候補ではない人にも届きます。「離婚の手続きの流れ」「相続放棄の期限」など、狙う相談のテーマに絞って作ると、増えたフォロワーが、相談につながりやすくなります。

弁護士のリールの、つくり方の型

1冒頭で、問いを立てる「離婚するとき、財産分与はどうなる?」「相続放棄って、いつまで?」。見る人が自分の話だと感じる、問いや場面で始めます。
21つのリールに、1つのテーマ法律を欲張って並べず、1つの疑問に答えます。続きは、次のリールか、カルーセルへ送ります。
3顔と声で、人柄を見せる弁護士が自分で話す、聞き役を立てて掛け合いにする。「誰が話すか」を決めると、相談のハードルが下がります。
4結論を先に言い、要点を数えながら伝える「結論から言うと」と先に答え、「ポイントは3つ」と数で区切ります。最後まで見る理由になります。
5キャプションで、要点を一覧にして、保存を促す番号付きの一覧で、見返せる形にします。「必要になったときに見返せるよう、保存してください」という一言も、有効です。

リールならではの注意

動画だからこそ起きやすいこと

テロップと音声に、強い言葉が入る(「絶対」「勝てる」「今すぐ」)
背景に、相談室の書類・パソコン画面・依頼者の持ち物が写り込む
依頼者を想起させる再現ドラマ風の演出が、特定につながる
奇異・低俗・不快な演出で、品位を損なう

確認の方法

テロップ・音声・キャプションも、広告の表現として、5つのルールで確認する
撮影前に、背景を片づけ、画面を映さない。撮影場所は、事務所内の依頼者のいない場所に限る
台本を、弁護士が事前に確認する(動画は、公開後に直しにくい)
演出は、品位を損なわないかを、規程第3条第7号の例で確認する

弁護士系アカウントでは、リールはまだ少ない

当社が確認した範囲では、リールを使う法律事務所は少なく、Q&Aのカルーセルや、人物紹介の静止画が中心です。その分、リールは差別化の余地がある形式です。ただし、カルーセルのQ&Aや人物紹介は、規程の確認がしやすく、まず始めやすい型です。リールで見つけてもらい、カルーセルで理解してもらう、という役割分担から始めるのが、現実的です。

SECTION 07 / EXAMPLES

参考にしたい投稿例4選|Q&A・人物紹介・採用

弁護士系アカウントの投稿例を、4つ紹介します。形式は、カルーセル(Q&A、人物紹介)が3つ、リールが1つです。1つは、採用のアカウントです。依頼につながった件数などの成果は公開されていないため、「成功事例」ではなく、参考にしたい投稿例として扱います。いいねの数は、1〜107件と、規模は大きくありません。「伸びた事例」ではなく、広告規程に配慮した運用の型として、ご覧ください。

掲載にあたって

埋め込んでいる投稿は、運用の型を学ぶための参考例です。各投稿の表現が、日弁連の広告規程・指針に適合しているかを、本記事が保証するものではありません。埋め込みには、キャプションが表示されます。コメント欄そのものは表示されず、コメント数とInstagramへのリンクが表示されます。各アカウントの特徴は、ご提供いただいた画面の内容にもとづきます。

投稿例 01

平松剛法律事務所(@hiramatsugo.law)

形式:カルーセル(Q&A)投稿:4月17日(約半年前)型:身近な法律Q&Aシリーズ

投稿の中身

カルーセル「弁護士が解説!身近な法律Q&A」の1枚目です。「勤務先の会社をSNSで批判したらトラブルになりますか?」という問いを、大きく見せています。キャプションは、「Q:」「A:」の形式で、次の順に説明しています。愚痴のつもりでも、投稿が広まればトラブルになる可能性があること。多くの会社の就業規則には、「会社の信用を傷つける行為をしないこと」という定めが一般的にあり、違反すれば、注意や減給、場合によっては重い懲戒処分につながること。鍵アカウントやストーリーズでも、スクリーンショットなどで拡散されれば、会社に把握される可能性があること。ただし、すべての批判が違法になるわけではなく、内容や書き方で判断が変わること。投稿する前に、一度立ち止まること。職場環境に悩みがある場合は、まず弁護士などの専門家に相談すること。末尾には、「本投稿は一般的な法的知識の提供を目的としており、個別の案件に対する法的助言ではありません」という免責の定型文があります。コメント欄は、制限されています。

学べること

「弁護士が解説!身近な法律Q&A」と、シリーズ名を付け、1投稿1問にして、読者の期待をそろえている
「Q:」「A:」の形式で、問い、答え、注意の順に、要点を整理している
「可能性があります」「ではありません」と、断定を避けた書き方になっている(誇大・過度な期待を避ける、規程に沿った書き方の手本)
「投稿する前に一度立ち止まること」と、読者の行動に役立つ一言で結んでいる
免責の定型文を、毎回、キャプションの末尾に入れている

法律事務所が真似るときの注意

免責文は、一般的な情報であることを示す役割ですが、免責文があれば、規程の確認が不要になるわけではありません。コメント欄を制限する運用は、不特定の人からの書き込みで、規程に触れる内容が付くリスクを避ける、一つの考え方です。一方で、双方向の交流は減ります。画像の下部に事務所名が入っていますが、氏名と所属弁護士会の表示(規程第9条)は、プロフィールで満たしているかを、確認してください。

投稿例 02

オレンジ法律事務所(@orange_lawoffice)

形式:リール投稿:2024年6月4日型:弁護士紹介シリーズ

投稿の中身

リール「昨年12月に入所しました!富岡先生の紹介」です。画面では、スーツ姿の富岡弁護士が、「埼玉の方々のお役に少しでも立てたらなと思い、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!」というテロップとともに、あいさつをしています。キャプションは、「前回に引き続き、新しく入所した弁護士を紹介します」と、シリーズであることを示し、弁護士1年目であること、生まれ育った埼玉で、企業や個人の皆様に貢献したい思いを述べています。ハッシュタグは12個で、埼玉の弁護士、法律相談、企業法務、不動産、知的財産などが並びます。

学べること

「前回に引き続き」と、人物紹介をシリーズにして、続ける理由を作っている
地元(埼玉)への思いを語り、人柄と、対象とする地域が、同時に伝わる
大きなテロップで、音声を出さなくても、内容が伝わる
取り扱う分野を、ハッシュタグで補足している(企業法務、不動産、知的財産)

法律事務所が真似るときの注意

ハッシュタグは、1投稿5個までです(詳しくは、インスタのハッシュタグは5個まで)。12個は、そのまま真似ない方がよい数です。「フレッシュ」「精一杯頑張ります」といった人柄の表現は、成果や優位性の訴求になりにくく、規程の論点になりにくい型です。氏名と所属弁護士会は、プロフィールで表示しているかを確認してください。リールでの人物紹介は、出演する弁護士本人の同意と、背景に書類や依頼者の情報が写らない撮影場所の確認が、前提です。

投稿例 03

ベリーベストグループ(@verybestgroup.info)|採用アカウント

形式:カルーセル投稿:9月14日(3週間前)型:採用(インターンシップ)

投稿の中身

2028年新卒向けの「債務整理部インターンシップ」の告知です。画像には、「人生の再出発を支える!自己破産申立書作成体験」とあり、「スワイプして詳しく見る」で、2枚目以降に誘導しています。キャプションは、参加者の声として、「参加するまでは長時間で大変かなと不安でしたが、実際に書類を作ってみる業務体験の面白さ、座談会で気軽に質問できる雰囲気があった点などがとても良かったです」「破産について深く考えたことはなく、学んだこともなかったですが、このワークのおかげで興味が湧いてきました」の2つを載せています。エントリーは、プロフィールのリンクから、日程は、マイページから予約するよう案内しています。末尾には、「ベリーベスト法律事務所 所属:第一東京弁護士会 ベリーベスト弁護士法人」と、事務所名と所属弁護士会が書かれています。ハッシュタグは7個で、コメント欄は制限されています。

学べること

採用の発信を、業務の紹介(債務整理)と結び付け、「書類を作る体験」で具体化している
参加者の声で、不安(長時間で大変そう)を先に解消している
エントリーの手順(プロフィールのリンク、マイページで予約)が、明確である
末尾に、事務所名と所属弁護士会を入れている(規程第9条の表示の実例として、参考になる)

法律事務所が真似るときの注意

採用の発信は、依頼者となるように誘引することを主たる目的としないため、広告規程の「広告」の定義に、そのまま当たらない場合があります。ただし、業務内容に触れる投稿は、依頼者候補も目にします。「人生の再出発を支える」といった債務整理に関わる表現が、誇大や、過度な期待を抱かせる表現にならないか、確認してください。「参加者の声」は、依頼者の声ではありません。同じ形式で、依頼者の声を載せると、規程第4条の論点になります。

投稿例 04

旭合同法律事務所(@asahigodolaw)

形式:カルーセル(2枚)投稿:2025年5月13日型:新メンバー紹介

投稿の中身

「【新メンバー紹介】令和7年3月登録、丸岡美幸弁護士が旭合同法律事務所に入所しました」という投稿です。書棚の前で、笑顔の弁護士の写真が使われています。キャプションには、本人のコメント(週末は料理に挑戦している。愛知・岐阜でおすすめのご飯屋さんがあれば、教えてほしい)、関心のある分野(少年事件・労働事件)、「これからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします」という一言が続きます。ハッシュタグは10個で、事務所名と、名古屋・愛知・岐阜などの地名が中心です。この投稿には、内容と関係のないコメントが、1件付いています。

学べること

登録年月(令和7年3月)と、関心のある分野を、事実で書いている。「専門」ではなく、「関心ある分野」としている
本人のコメントで、人柄を伝え、「おすすめのご飯屋さんを教えてください」と、コメントしやすい問いかけを入れている
地名のハッシュタグで、対応する地域を示している
書棚を背景にした写真が、事務所の雰囲気と信頼感を伝えている

法律事務所が真似るときの注意

コメント欄を開けていると、この投稿のように、内容と関係のないコメントが付くことがあります。宣伝や、規程に触れる内容が付かないよう、コメントの管理方法を決めておきます。ハッシュタグは10個あり、1投稿5個までという上限を超えています。人物紹介では、写真の背景に、依頼者の情報が写らないことを確認します。

4つの投稿に共通する型

COMMON 01

結果を保証せず、一般論で書く

Q&Aは「可能性があります」「ではありません」、人物紹介は「頑張ります」。成果や優位性を訴えず、断定を避ける書き方が共通しています。

COMMON 02

シリーズにして、続ける理由を作る

「身近な法律Q&A」「前回に引き続き」「新メンバー紹介」。1本ごとに考えず、型を決めて続けています。

COMMON 03

人(顔と言葉)を出す

弁護士本人のあいさつ、本人のコメント、関心のある分野。事務所の信頼感を、人柄で補っています。

COMMON 04

規程に関わる表示を、毎回入れる

免責の定型文、事務所名と所属弁護士会。一度決めたら、毎回同じ位置に入れる運用になっています。

反応の規模から見える、リールの余地

4つの投稿のいいね数は、1〜107件です。堅実で、規程に配慮した運用ですが、反応は大きくありません。当社が確認した範囲では、リールを使う法律事務所は少なく、今回も4つのうちリールは1つでした。その分、フォロワーを増やす入口としてのリールには、差別化の余地があります。人物紹介やQ&Aの型を、リールに置き換えるところから、始められます。

SECTION 08 / OPERATION

所内の運用フローと見る数字

一度ルールを決めても、更新のたびに、写り込みや表現の漏れが生まれ得ます。確認の手順を、仕組みにします。

1弁護士が、法律の説明の正確性を確認する条文、期限、手続きの説明が、最新の法令と合っているかを、弁護士が見ます。
2規程第3条・第4条の項目で、表現を確認する誤導・誇大・不安をあおる表現・比較・勝訴率・依頼者や事件の表示がないかを、毎回同じ項目で見ます。担当は1人に決めます。
3写り込みと、特定につながる情報を確認する書類、パソコン画面、依頼者の持ち物、事件名・地名・時期から依頼者が特定できないかを確認します。
4氏名・所属弁護士会の表示を確認するプロフィールに、規程第9条の表示があるかを確認します。
5事務員・スタッフの個人アカウントのルールを決める事務所名が分かる形での発信、事務所内で撮影した写真の扱いを、文書にします。

運用を外部に任せるときは、「非弁提携」に注意

広告会社などに、案件の紹介の対価や、受任・依頼件数に連動した報酬を支払う契約は、非弁提携(弁護士法第27条・第72条)の論点とされています。規程第3条第6号の例にも、非弁提携をうたう広告が挙げられています。運用支援は、紹介と切り離した固定報酬の形にし、契約の前に、所属弁護士会や、広告規程に詳しい専門家に確認してください。

見る数字は、フォロワー数より「相談につながる動き」

Instagramのインサイトで見る

プロフィールへのアクセス数
問い合わせ・予約リンクのタップ数
保存数(見返したい情報になっているか)
DMでの相談の数

所内で聞く・数える

初回相談の受付で、「Instagramを見た」という選択肢を設ける
問い合わせ時に、知ったきっかけを聞く
月ごとの新規相談の数と、投稿の内容を並べて見る

SECTION 09 / MISTAKES

よくある失敗5つ

MISS 01

「勝率」「解決率」を、数字で見せてしまう

分かりやすい実績に見えますが、勝訴率は表示できず、近い数字も、誤認の論点になります。数字ではなく、手続きの流れや考え方で信頼を作ります。

MISS 02

「専門」「強い」を、看板にする

評価の言葉は、規程上の論点になりやすく、他の弁護士との差別化にも、なりにくいものです。取り扱っている分野と、考え方を、事実で伝えます。

MISS 03

不安をあおって、反応を取ろうとする

「今すぐしないと失われる」型は、反応は取れても、規程第3条第4号に反する例にあたります。信頼も下がります。

MISS 04

依頼者の情報が、写り込む・特定される

背景の書類、事件名、地名、時期。匿名にしたつもりでも、特定できる投稿は、公開後に見つかります。公開前の確認を、必ず挟みます。

MISS 05

更新が止まる

繁忙期に止まるのが、最も多いパターンです。繁忙期は、ストーリーズだけに絞る運用でも、アカウントは続きます。

FAQ / よくある質問

よくある質問

Q弁護士は、Instagramで広告・発信をしてもよいのですか?
Aできます。日弁連会則第29条の2は、弁護士が自己の業務について広告をすることができると定めています。ただし、日弁連の定め(広告規程・指針)に反しない範囲です。口頭、書面、電磁的方法を問わず、依頼者となるように誘引することを主たる目的とする情報の伝達・表示は、広告にあたり得ます。
Qどんな広告が禁止されていますか?
A規程第3条が、事実に合致しない広告、誤導・誤認のおそれのある広告、誇大または過度な期待を抱かせる広告、困惑させ、または過度な不安をあおる広告、特定の弁護士・事務所と比較した広告、法令や会則に違反する広告、品位または信用を損なうおそれのある広告の7つを禁止しています。
Q勝訴率や解決率を、投稿に書いてもよいですか?
A訴訟の勝訴率は、規程第4条第1号で、表示できない事項とされています。回収率・成功率・解決率なども、誤認や景品表示法の論点を生じ得るため、表示と根拠資料を慎重に確認する必要があります。
Q解決事例を、投稿してもよいですか?
A依頼者、受任中の事件、過去に取り扱った事件は、原則として表示できません。書面による同意がある場合や、依頼者が特定されない場合などの例外があります。書面による同意は、同意の範囲、有効期限などを明示して得ることが、指針で求められています。迷う場合は、一般化した「よくある相談」に置き換えます。
Q「離婚専門」「相続に強い」と書いてもよいですか?
A「専門」「得意分野」の表示は、指針上、控えるのが望ましいとされています。「強い」といった表現は、客観的な裏づけがないと、誤導のおそれが生じます。「取り扱っている分野」として、事実で書く方が安全です。
Q依頼者の声や、感謝の言葉を載せてもよいですか?
A依頼者に関する表示は、規程第4条により、書面による同意がある場合などを除いて、できません。事務所が依頼して書いてもらった感想を、広告であることを示さずに載せると、景品表示法のステルスマーケティング規制の論点にもなります。
Q氏名と所属弁護士会は、表示が必要ですか?
A規程第9条は、広告中に、弁護士の氏名と所属弁護士会の表示を求めています。Instagramでは、プロフィールに表示するのが、実務的な方法です。投稿ごとの要否は、日弁連の指針と、所属弁護士会の案内で確認してください。
Q事務員やスタッフの個人アカウントも、対象になりますか?
A実質的に事務所の広告と認められる場合は、対象になり得ます。事務所内の撮影や、依頼者に関する発信のルールを、所内で決めておくことをお勧めします。
Q運用を外部に任せても、よいですか?
A運用の支援を外部に任せること自体は可能ですが、案件の紹介の対価や、件数に連動した報酬は、非弁提携の論点とされています。固定報酬の形にし、公開前の確認を誰が行うかを、契約の段階で決めてください。広告の責任は、弁護士の側に残ると考えるのが安全です。
Q規程に違反すると、どうなりますか?
A所属弁護士会の指導や、懲戒の対象になり得ます。弁護士法第56条は、会則への違反や、品位を失うべき非行を、懲戒の対象としています。

CLOSING / まとめ

数字で勝たず、法律の解説と人柄で、相談のきっかけを作る

弁護士のInstagramは、依頼者候補が、相談の前に事務所を確かめる場になります。

法律の解説と人柄を軸に、勝訴率や依頼者の話は出さない。評価・比較・不安をあおる表現は使わない。氏名と所属弁護士会を表示する。この線引きを、所内のルールとして決めてから、リールで入口を作ってください。

まずは、プロフィールの書き方の見直しと、写り込みの確認手順づくりから始めるのが、最短です。

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SOURCES / 出典

出典・確認資料

日弁連の会員(2026年9月1日現在の会員数) / 日本弁護士連合会www.nichibenren.or.jp
会規(弁護士等の業務広告に関する規程、業務広告に関する指針、弁護士の報酬に関する規程ほか) / 日本弁護士連合会www.nichibenren.or.jp
弁護士等の業務広告に関する規程(会規第44号、PDF) / 日本弁護士連合会www.nichibenren.or.jp
業務広告に関する指針(PDF) / 日本弁護士連合会www.nichibenren.or.jp
事務所のウェブサイトに、所属弁護士会の表示がないものは違反広告です(規程第9条) / 東京弁護士会www.toben.or.jp
弁護士の業務広告に関する規定(規程・指針の抜粋。参考) / ilc.gr.jpilc.gr.jp

※ 本記事は2026年10月7日時点の公開情報にもとづく一般的な整理であり、法律上の助言ではありません。広告規程・指針は改正されることがあります。実際の運用にあたっては、日弁連が定める最新の規程・指針と、所属弁護士会の案内をご確認ください。

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青山 直樹

メディアを32年、内側から見続けてきました。1994年電通入社、テレビ局担当6年、アジアのメディアビジネス4年。
2004年起業、ゴルフメディアを8年、ソーシャル専業13年。
今はAI時代のSNSを考え、書き、企業に教えています。
㍿ニューオーダー代表

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