CONTENTS
01 結論:税理士のYouTubeは「時事ネタ→税務」。毎日更新は要らない
03 事例1:時事ネタから税務へつなぐ(脱・税理士スガワラくん)
01結論:税理士のYouTubeは「時事ネタ→税務」。毎日更新は要らない
先に結論です。税理士事務所がYouTubeを使うなら、次の3点を押さえてください。
1. 入口は時事ネタ
一般の人が興味を持つニュースや制度改正から入り、「それは自分の税金にどう関わるか」へ落とし込みます。税法の条文解説から始めるより、見てもらいやすくなります。
2. 毎日更新は不要
登録者100万人超のチャンネルは、ほぼ毎日更新しています。ただ、顧問先を増やしたい事務所の目的は、登録者数の最大化ではありません。月2本でも、型を決めれば続けられます。
3. 規制と守秘は先に確認
税理士の広告は、税理士会の細則・運用指針の対象です。顧問先の話は、税理士法の守秘義務にも関わります。公開前の確認フローを先に作ります。
なお、Instagramでの集客方法は、別記事の税理士のInstagram集客で整理しています。YouTubeとInstagramは、同じ素材を使い回せます。
02税理士事務所のYouTubeで、何を狙うか
目的によって、動画の型が変わります。
顧問先・相談の獲得
「顧問料はいくらか」「どの税理士を選ぶか」と調べる経営者に、検索で見つけてもらう。悩みに答える動画が向きます。
認知と信頼の裏づけ
相談前に、人柄と考え方を見てもらう。時事ネタや制度改正の解説で、継続して見てもらいます。
採用
事務所の雰囲気や、働く人の考え方を伝える。税理士事務所の採用でも、YouTubeを使う動きがあります。
先に「誰に、何をしてほしいか」を決める
顧問先候補に相談してほしいのか、税理士志望の人に応募してほしいのか。ゴールが違えば、動画のテーマも、概要欄に置くリンクも変わります。
03事例1:時事ネタから税務へつなぐ(脱・税理士スガワラくん)
CASE 01 / 時事ネタ型
脱・税理士スガワラくん「必要ないことにみんな気づいた?生命保険の解約が急増している理由を解説します。」
チャンネル:脱・税理士スガワラくん YouTubeで見る
どんな動画か
タイトルのとおり、「生命保険の解約が急増している」という、世の中の動きを入口にした動画です。生命保険は、ほとんどの人に関係するお金の話題です。税理士の専門分野に、一般の人が自分ごととして入れる切り口になっています。
運営は税理士の菅原由一氏で、登録者は約181万人(2026年10月時点)です。動画には1〜2名の聞き手(ファシリテーター)が入り、一般の視聴者と同じ目線で質問を投げる形で、動画は10〜20分程度、更新はほぼ毎日です。XとInstagramで告知や簡単な解説を出し、YouTubeへ誘導しています。
タイトルを分解する
このタイトルは、3層でできています。「必要ないことにみんな気づいた?」は、世の中の空気への問いかけです。「生命保険の解約が急増している」は、ニュース性のある事実です。「理由を解説します」は、見たあとに得られるものの約束です。ニュースに反応した人が、そのまま見られる構造になっています。
この型の強みと弱み
時事ネタ型の強みは、検索されなくても、関連動画やおすすめで見つけてもらえる点です。弱みは、ニュースが古くなると見られなくなる点です。顧問先候補の獲得には、5章の悩み・検索型と組み合わせます。
学べる点
ニュースを「お金の話」に変える
世の中の話題や、暮らしの変化を、まず一般の人の関心として拾います。税務は、その後に出てきます。
聞き手を入れて、同じ目線で進める
専門家が一方的に話すのではなく、質問する人がいることで、専門用語がかみ砕かれます。
SNSから動画へ誘導する
XとInstagramで告知や簡単な解説を出し、YouTubeへ誘導しています。動画だけで完結させません。
真似するときの注意
チャンネルの規模は、毎日更新できる体制と、聞き手を含む制作体制があってのものです。同じ本数をそのまま目標にしないでください(7章)。
04事例2:制度改正をまとめて伝える(オタク会計士ch【山田真哉】)
CASE 02 / 制度改正まとめ型
オタク会計士ch【山田真哉】「【激改正!】10月から会社員・パートの給料と働き方が変わる!…」
チャンネル:オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する YouTubeで見る
どんな動画か
タイトルには、「10月から」と、複数の制度改正(106万円の壁、NISA・iDeCoなど)が並んでいます。1つの法改正を深掘りするのではなく、「この時期に変わること」をまとめて伝える型です。
登録者は約116万人(2026年10月時点)で、確定申告の誤りを扱うシリーズなど、身近なお金の話題を軸にしたチャンネルです。
タイトルを分解する
このタイトルも、役割を分けて読めます。「【激改正!】」は、重要度の予告です。「10月から」は時期、「会社員・パートの給料と働き方が変わる」は対象者です。そのあとに、106万円の壁、カスハラでの社名公表、NISA・iDeCoの改正と、検索される制度名が並びます。「いつ」「誰に」「何が」を、タイトルだけで判断できます。
学べる点
「いつから変わるか」を、タイトルで言い切る
「10月から」という時期は、見る人にとって、自分に関係があるかを判断する材料です。
制度の名前を、見出しに並べる
「106万円の壁」「NISA」のように、検索されやすい言葉を入れます。
年間カレンダーに載せられる
法改正や、申告・年末調整の時期は、毎年必ず来ます。企画を先に決めておけます。
真似するときの注意
制度は、改正の時期や適用の条件が変わります。動画の公開日と、説明している制度の施行日を、概要欄やテロップに明記してください。古くなった動画は、概要欄で更新を案内するか、非公開にする運用も決めておきます。
05事例3:検索される悩みに答える(ヒロ税理士)
CASE 03 / 悩み・検索型
税理士YouTuberチャンネル!!/ヒロ税理士「【2026年最新】税理士の顧問料相場はいくら?…」
チャンネル:税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 YouTubeで見る
どんな動画か
タイトルは、「税理士の顧問料相場はいくら?」「失敗しない会計事務所の選び方」です。税理士を探している人が、実際に検索しそうな疑問に、そのまま答える形になっています。時事ネタではなく、顧問先候補が、契約の前に調べることを扱う型です。
登録者は約42.7万人(2026年10月時点)で、節税や税制を扱うチャンネルです。
タイトルを分解する
「【2026年最新】」は鮮度、「顧問料の相場」は検索される言葉、「適正価格」「失敗しない会計事務所の選び方」は、契約前の人が知りたい判断基準です。タイトルが、検索する人の疑問とそのまま重なっています。
学べる点
検索される言葉を、タイトルに入れる
「顧問料」「相場」「選び方」は、依頼を検討する人が使う言葉です。
年を入れて、新しさを示す
「【2026年最新】」のように、いつの情報かをタイトルで示します。
比較検討の段階に、答えを置く
相談する前の人に、判断の基準を渡すことで、「この税理士は信頼できそう」という印象につながります。
真似するときの注意
料金の話題は、税理士会の広告規制の影響を受けやすい分野です。他の税理士や事務所を名指しして比べることは、細則で禁じられている広告に当たります。自事務所の料金の考え方を、一般論と分けて説明してください(8章)。
06時事ネタを税務に落とし込む4ステップ
3つの型を比べる
ここまでの3本を、当社で整理すると、次のように違います。
時事ネタ型|見つけてもらう
流入:おすすめ・関連動画が中心。寿命:短い。事務所の狙い:認知と、人柄の理解。注意:不安をあおる見せ方に頼らないこと。
制度改正まとめ型|毎年来る
流入:検索とおすすめの両方。寿命:次の改正まで。事務所の狙い:継続して見てもらう。注意:施行日・適用条件が古くならないか。
悩み・検索型|契約前に届く
流入:検索が中心。寿命:長い。事務所の狙い:顧問契約・相談。注意:料金の表示、他事務所との比較。
顧問先の獲得が目的なら、土台は悩み・検索型です。時事ネタ型と制度改正型は、そこへ人を連れてくる入口として使います。
時事ネタを税務に変換する4ステップ
「時事ネタ」を、そのまま解説しても、税理士の動画にはなりません。次の4ステップで、税務の話に変換します。
1. ネタを拾う
ニュース、制度改正、暮らしの変化、流行など、一般の人が話題にしているものを選びます。税の話題でなくて構いません。
2. 税務の論点を探す
そのネタが、「誰の」「どの税金や手続き」に関わるかを書き出します。たとえば、給与・保険・相続・事業の経費などです。
3. 1本の問いにする
「結局、自分は何をすればよいのか」という問いにします。見る人の行動に近い問いほど、見てもらえます。
4. 結論を先に言う
冒頭で、結論を言い切ります。そのあとに、理由と注意点を並べます。
時事ネタを選ぶときの線引き
特定の個人や企業ではなく、制度や暮らしの変化を題材にします。また、不安をあおる見せ方(「今やらないと大損」など)は、税理士会の細則で禁じられている類型です(8章)。
取り上げる時期の目安は、税理士のInstagram集客記事の「季節ネタの年間カレンダー」も参考になります。同じ年間計画から、動画とInstagramの両方を作れます。
07毎日更新しなくていい理由と、月2本の運用モデル
事例1のチャンネルは、ほぼ毎日更新しています。ただ、これは「一番大きいチャンネルのやり方」です。顧問先を増やしたい税理士事務所が、同じ本数を目指す必要はありません。
毎日更新が要らない3つの理由
目的が、登録者数ではない
事務所が欲しいのは、顧問契約や相談です。100万人の登録者より、検索した経営者に見つけてもらうことが大切です。
時事ネタは、選ぶ力が大切
毎日出すより、自分の顧問先に関係する話題を選ぶほうが、事務所の専門性が伝わります。
続かないことが、最大のリスク
最初に本数を多く決めると、続きません。続けられる本数から始めます。
当社が公開している運用事例では、月2本の公開を24か月続け、累計48本になった動画運用で、チャンネル登録者は約1,500人増えました(詳しくはYouTube広告運用代行の実例)。ただし、この数字は広告とオーガニックを分けたものではなく、増加の原因を証明するものでもありません。本数の目安を示す事例として、参考にしてください。
月2本の運用モデル(当社の提案)
1本目:時事・制度改正
その月のニュースや、制度の変更から1本。速報性が必要なので、撮影から公開までを短くします。
2本目:検索される悩み
「顧問料」「税理士の選び方」「確定申告の流れ」など、長く検索される内容を1本。公開後も見られ続けます。
同じ素材を、Shortsやリールに
長尺から短い切り抜きを作り、Instagramにも出します。YouTube Shortsの運用の考え方は、YouTubeショートが「オリジナル重視」にで整理しています。
08公開前に確認したい広告規制と守秘義務
税理士の業務広告は、平成13年の税理士法改正で自由化されました。ただし、税理士会の細則と運用指針で、禁止される広告の類型が定められています。以下は一般的な整理です。個別の判断は、所属する税理士会に確認してください。
誇大・過度な期待を抱かせない
「相続税をゼロにするノウハウ」「税金を〇割カット」のような表現は、禁止の例として挙がっています。動画のタイトルとサムネイルにも当てはまります。
「抜け道」「究極」をうたわない
「税の抜け道、抜け穴教えます」「究極の節税テクニック」は、品位を損なうとして禁止の例に挙がっています。「裏ワザ」系のタイトルは避けます。
不安をあおらない
困惑させたり、過度な不安をあおったりする広告も、細則が禁じる類型です。「知らないと大損」のような見せ方に注意します。
他の事務所と比較しない
特定の税理士や事務所との比較広告は禁止です。顧問料の動画で、他事務所を名指しして比べることはできません。
事実と異なる表示をしない
経歴や実績に、事実と異なる表示をしてはいけません。元税務職員の肩書きは、表示に制限があります。
守秘義務と、顧問先の話の扱い
税理士は、税理士法第38条で、業務で知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしたり、盗用したりすることを禁じられています。動画では、次の点に注意してください。
顧問先の事例を、勝手に話さない
匿名にしても、内容から特定できる事例は避けます。話す場合は、書面による同意を得ます。
画面・書類の写り込み
パソコンの画面、書類、名刺、事務所内の掲示物から、顧問先が分かることがあります。撮影前に片付けます。
所員の個人アカウント
所員が個人のSNSで、業務の話をすることもあります。事務所としてのルールを決めます。
動画も「広告」にあたる可能性がある
YouTubeの動画が、細則上の「広告」にあたるかは、内容や使い方によります。当社では、自事務所の紹介や集客を目的とした動画は、広告と同じ基準で確認することをおすすめしています。公開前に、所属税理士会へ確認してください。
広告規制と守秘義務の詳しい整理は、税理士のInstagram集客|広告規制・守秘義務で守る5つのルールを参照してください。弁護士の場合は、弁護士のInstagram・SNS集客で、日弁連の広告規程を整理しています。
09内製か外注か。工数の現実
動画は、企画、撮影、編集、公開設定、確認と、1本ごとに手間がかかります。税務の本業をしながら、月2本を続けるのが、最大の壁です。
内製が向く
所長や担当者が出演できる。スマートフォンで、短いYouTube Shortsから始めたい。
一部を外注
撮影・編集は任せて、企画と出演は事務所で。専門性を保ちながら、工数を減らせます。
全体を外注
企画・台本・撮影・編集・公開まで、一括で任せたい。
撮影の費用や選び方は、YouTube撮影代行の費用と選び方で整理しています。当社では、撮影代行・MC・台本まで対応するYouTube運用代行を提供しています。事例はこちら、外注範囲の考え方はこちらで確認できます。
AIで台本や字幕の下書きを作る場合は、AIウォーターマークは本当に必要か?これから問われるのは「編集責任」も参考になります。税務の内容は、必ず税理士本人が確認してください。
税理士事務所のYouTube、どこから始めるか
動画を外に任せるか、事務所で回せるようにするか。状況に合わせて選べます。
10よくある質問
Q. 税理士事務所は、YouTubeを毎日更新する必要がありますか?
必要ありません。登録者の多いチャンネルには、ほぼ毎日更新するものもありますが、顧問先の獲得が目的の事務所は、続けられる本数で十分です。月2本(時事・制度改正の1本と、検索される悩みの1本)から始める方法があります。
Q. 時事ネタは、どうやって税務につなげればよいですか?
そのネタが、誰のどの税金や手続きに関わるかを書き出し、「自分は何をすればよいか」という1つの問いにします。結論を冒頭で言い切るのがコツです。
Q. 税理士のYouTubeで、顧問料を紹介してもよいですか?
自事務所の料金の考え方を説明することは可能です。ただし、他の税理士や事務所と比較する表現は、細則で禁じられています。所属税理士会へ確認してください。
Q. 顧問先の事例を、動画で紹介できますか?
税理士法の守秘義務があるため、顧問先が特定できる事例は避けます。紹介する場合は、書面による同意を得て、写り込みにも注意します。
Q. 「節税」を、タイトルに入れてもよいですか?
入れること自体は禁止されていません。ただし、「究極の節税」「税金をゼロに」のような、過度な期待を抱かせる表現や、抜け道をうたう表現は、禁止の例として挙がっています。
Q. YouTubeとInstagramは、どちらを先にやるべきですか?
目的によります。検索される悩みに答えるならYouTube、日常の発信や相談前の信頼づくりならInstagramが向きます。同じ素材を、Shortsやリールにも活用できます。Instagramは税理士のInstagram集客を参照してください。
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YouTubeの業種別ガイド
YouTube運用の実務
※本記事は2026年10月時点の情報です。ご紹介した3本の動画は、各投稿者の公開動画を埋め込みで紹介するもので、当社が制作に関わったものではありません。事例の評価は当社の見解です。登録者数は2026年10月時点の数字で、今後変わります。事例の分析は、動画のタイトル・チャンネルの公開情報にもとづく当社の見解です。税理士会の細則・運用指針は改正されることがあるため、最新版を所属税理士会でご確認ください。
参考:脱・税理士スガワラくん(YouTube)/オタク会計士ch【山田真哉】(YouTube)/税理士YouTuberチャンネル!!/ヒロ税理士(YouTube)/note:税理士・公認会計士YouTuberランキング/マネーフォワード:税理士の広告規制の解説/e-Gov法令検索:税理士法
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